withコロナ時代の健康術 第1回(03) withコロナの新しい生活様式で生きなければならないこの時代に、50代以降から衰えやすくなる器官や機能を取り上げ、健康を保つための方法を紹介します。今回は「全身の健康に関係する血管を若く保つ」をテーマに千葉大学医学部附属病院病院長の横手幸太郎先生にお話を伺いました。
前回記事を読む>> “血管を若く保つ”ために生活を見直そう
血管の老化はさまざまな病気を招く>>〔解説してくださるかた〕横手幸太郎(よこて・こうたろう)先生千葉大学医学部附属病院 病院長
同大学大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学 教授
1962年生まれ。88年千葉大学医学部卒業。96年スウェーデン国立ウプサラ大学大学院博士課程修了。2009年に千葉大学大学院医学研究院細胞治療内科学講座(19年に内分泌代謝・血液・老年内科学講座に名称変更)教授に就任。11年から同大学医学部附属病院副病院長。20年4月から病院長、同大学副学長に就任。若い血管を保つには、腹八分目でウォーキング
先にも述べたように、血管の健康を保つために最も気をつけたいのは、肥満を含めた生活習慣病の予防や適切な治療です。健康診断や人間ドックで精密検査が必要といわれた人は、ためらわずに受診しましょう。治療を受けている人も治療を継続します。
血管の若さを保ち、かつ生活習慣病を予防したり、治療したりするために、食事、運動、睡眠を振り返ってみましょう。
血管を若々しく保つ生活
●睡眠
「睡眠は短すぎても長すぎても生活習慣病のリスクが高まります。生活習慣病は血管を傷める原因。睡眠は7時間前後がよいといわれています」(横手先生)。夜のカフェイン摂取を避けるなどにも注意。
●運動
ウォーキングは最も手軽で有効な有酸素運動。毎日7000歩歩くと生活習慣病の予防になるという日本人のデータがある。胸を張り、腕を振って大股で歩くと心肺や筋肉への効果が増す。
●食事
血管や筋肉の材料となるたんぱく質は意識して摂りたい。ただし、肉類の脂肪は動脈硬化の原因になるので、摂りすぎに注意。青魚やオリーブオイルなどの不飽和脂肪酸、野菜などの食物繊維が血管の詰まりを防ぐ。
食事、睡眠、運動が鍵を握ります
「食事は腹八分目で留めることがまず大事」と横手先生。血管や筋肉の材料となるたんぱく質は加齢とともに不足しがちになるため、できれば毎食欠かさずに摂りたいものです。
ただ、肉に多い動物性脂肪は動脈硬化を進めるので控えめに。抗炎症作用があり、動脈硬化を防ぐ不飽和脂肪酸を含む青魚、大豆製品、ナッツ、オリーブ油、シソ油、亜麻仁油などを代わりに摂るように心がけましょう。
野菜や海藻、穀類に多い食物繊維は動脈硬化を防ぎ、塩分を排せつさせて血圧を下げます。
継続した運動は血圧や中性脂肪を下げることが知られています。おすすめはやはりウォーキングです。下半身に溜まりがちな静脈血を心臓に戻すのにも役立ちます。
「健康づくりのための身体活動基準・指針」(2013年)によると、18〜64歳では歩行くらいの強度の身体活動を毎日60分、息が弾み、汗をかく程度の運動を毎週60分することが推奨されています。
「毎日7000歩以上の歩行が生活習慣病の予防になるというデータがあります。スクワットのような筋力トレーニングも加えるといいでしょう。ただし、心臓や血管、筋肉、骨、関節に不調があると悪化しかねないので、医師の指導のもとに運動してください」。
さらに、睡眠不足になると生活習慣病になりやすいというデータがあります。「7時間前後が最も健康的といわれています」と横手先生は話します。
取材・文/小島あゆみ イラスト/にれいさちこ 撮影/八田政玄
『家庭画報』2021年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。