菊から滴る雫を飲んで不老不死になったといわれる菊慈童。9月9日の重陽の節句は「菊の節句」とも呼ばれ、菊酒や被きせ綿わたで長寿を願う。写真・JAPACK /アフロこの妙文を菊の葉に 置く滴りや露の身の
不老不死の薬となって 七百歳を送りぬる
選・文=大倉源次郎(大倉流小鼓方十六世宗家)
帝の枕を跨いだことで山に捨てられた慈童は仙家に入り不老不死となった。孤独と引き換えに自由を手に入れる人の、限界と永遠への憧れが見え隠れする能である。
『家庭画報』2021年9月号掲載。
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