今の神奈川県横浜市金沢区にある称名寺。寺の紅葉が盛りを迎える中、1本だけ青葉の楓があるところから「六浦」は始まる。photo by RYO KAWANO〈hyogen〉四季をりをりの草木 おのれおのれの時を得て 花葉さまざまのその姿を 心なしとは誰か言ふ
選・文=大倉源次郎(大倉流小鼓方十六世宗家)
年中同じ品目が並ぶ都会の生活では四季の感覚が薄れるが、遠くの山に目を移せば彩りが自然の移ろいを教えてくれる。
能『六浦(むつら)』に描かれる物語は称名寺の紅葉と冷泉為相との素敵な歌の物語。
不安定な世の中だからこそ、草木と心を通わす生活に憧れるのだ。
『家庭画報』2021年11月号掲載。
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