句:与謝蕪村選・文=金田一秀穂(言語学者)
さっさと寝ようぜ、正月といったって、一日寝て明けるだけのことだ。何も変わった日ではなし。
私たち日本人は、習い性として、1月1日にはけじめをつけなくてはいけない、改まらなくてはいけないと思ってしまうのだけれど、考えてみればいつもの一日と違うわけではない。普通の一日だと思えば気楽なものだ。
しかし、普通にできていたことができなくなったここしばらく、「普通に暮らす」というのがどういうことだったか忘れかけてしまっているのではないか。
私たちの普段の暮らしがどんな風だったのか。それがしっかりした暮らしだったはずなのだが。
『家庭画報』2022年1月号掲載。
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