今を生きる。自らの心のともしびを目印に
文/川野泰周(林香寺住職・精神科医)高校時代の私は、夕刻になると自転車に乗って近くの防波堤を訪れ、巡視船の光を眺めていました。
暮れなずむ横浜の港町を背景に、ほの明るい灯火が往来する姿が美しく映りました。この光の共演、船の上からは決して見えません。
まっすぐ歩くために、私たちは外の世界に目印を求めるのです。でも、その目印が多すぎたら......。
雑音にまみれて少しだけ疲れたなら、立ち止まってひと呼吸して下さい。そして自分の胸に手を当て、そっと問いかけるのです。
── この船で、私はどこへ向かうのだろう?
『家庭画報』2020年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。