書・文=中村桂子(生命誌研究者)
育児の時に最も多く使う言葉が「早くして」だと言われます。私もそうでした。家庭にも様々な機械が入り便利になったのは有難いのですが、その結果効率が大事とされるようになりました。
学校でも早くお答えの出せる子がよい子であり、ゆっくり、じっくり型はダメな子とされてしまいます。
人間は機械ではありません。じっくり考え、丁寧に手を動かすその時間こそが生きる実感のはずです。
過程を大切に、一人一人が自分の道を着実に歩く社会って素敵だと思うのです。
『家庭画報』2021年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。