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藤田美術館の名品物語・5月 一体ずつ表情が異なる小さな奉納仏【動画あり】

2021.04.01

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5月 千体聖観音菩薩立像(せんたいしょうかんのんぼさつりゅうぞう)




《千体聖観音菩薩立像》平安時代(12世紀) 木造 彩色・漆箔・截金 像高約37.5㎝ 一般的に「興福寺千体仏」と呼ばれ、数百体が興福寺に安置されていた。それぞれ作風が異なるため、奉納を目的として各地からもたらされたとみられる。藤田家には50体が伝わった。藤田美術館は、同寺中金堂落慶法要に際して境内で行われた慶讃茶会の席主を務めた。

選・文=藤田 清(藤田美術館館長)


廃仏毀釈の嵐が吹き荒れた明治時代、寺社の破損仏や調度品が近代コレクターのもとへと渡った。藤田傳三郎や三井物産の初代社長 益田 孝が中心となり、文化や歴史を後世に伝える事が目的である。

2018年、過去に存続が危ぶまれた興福寺は、江戸時代に焼失した中金堂を再建するまでに復興し、落慶の際に催した茶会では、この「興福寺千体仏」が100余年ぶりにお里帰りを果たした。

かつて自らの身を挺して守ったお寺の厳かで、華々しい落慶は、その優しい眼にどのように映っただろう。

作品のエピソードトーク


動画で藤田 清館長と谷松屋戸田商店の戸田貴士氏による、本作品のエピソードトークをご覧いただけます。
撮影/小野祐次 構成/安藤菜穂子
『家庭画報』2021年05月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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