今こそ、教養として知っておきたい アートという資産 第4回(全7回)今、日本では空前の現代アートブーム。投資を目的に購入する人も増えています。現代アートは本当に資産となりうるのでしょうか。そのためのノウハウを著名なコレクターやギャラリスト、オークションハウス、投資家など専門家に教えていただきました。
前回の記事はこちら>> [鼎談]「アーティストの値打ち」を大いに語ろう(後編)
日本の現代美術界を牽引する名ギャラリスト、現代アートに魅せられた投資家、美術ジャーナリスト──立場は違えど現代アートを愛してやまないお三方(ギャラリスト 小山登美夫さん、投資家 小池 藍さん、ジャーナリスト 鈴木芳雄さん)が、アーティストの見極め方を指南。今後有望な作家名も挙げていただきました。
前編はこちら>>アートは“自分に対する投資”
3人の目利きがクラス別に挙げる、今投資すべきアーティストとは
1.巨匠鈴木 小池さんはどんな作家の作品をコレクションしているんですか。
小池 大御所では、菅 木志雄
※5。菅さんは現代アートのおもしろさを教えてくれた作家で、こんな言い方は失礼かもしれませんが、作品には、あ、これがアートでいいんだ(笑)という発見があります。
菅 木志雄 すがきしお(1944-)因潜 2019 木、アクリル 45.1×59.6×9.6cm 撮影/高橋健治 ©Kishio Suga,Courtesy of Tomio Koyama Gallery※5 菅 木志雄(すがきしお)1944年生まれ。李禹煥、関根伸夫などとともに「もの派」を代表する作家の一人。小山 工業製品としての木材の切れ端を使って、それを自然に戻していくような作品をつくっているのがおもしろいよね。
小池 意外とまだ欧米では知られていないので、伸びしろがあると思います(笑)。
小山 そういう意味では、国内で買える外国人作家の中にも、日本ではまだあまり知られていない人が大勢います。たとえば、リチャード・タトル
※6は80歳ですが、まだ新作をたくさんつくっているし、彫刻家のシュテファン・バルケンホール
※7もポエティックな作風でおすすめです。
※6 リチャード・タトル1941年アメリカ生まれ。ポスト・ミニマリズムを代表する作家。80歳の今も新作を続々発表。※7 シュテファン・バルケンホール1957年ドイツ生まれ。彫刻家。ユーモラスでポエティックな作風で、西欧では珍しい木彫を手がける。小池 ベルナール・フリズ
※8やバリー・マッギー
※9も、若い起業家が注目している作家です。
※8 ベルナール・フリズ1954年フランス生まれ。絵の具同士を編み物のように重ねた美しい色彩の抽象画を制作。※9 バリー・マッギー1966年アメリカ生まれ。ストリートアートと現代美術を自由に往来する人気のアーティスト。