「ヴェルディ」の魅力 第4回(全8回) イタリアの作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディ。アニバーサリーイヤーを祝し、不世出の奇才の深い魅力に迫ります。
前回の記事はこちら>> ヴェルディ作品を今に伝える華やかなりし歌姫たち。上演最多の代表作『椿姫』の華、ヴィオレッタ
『椿姫』は、典型的な「プリマドンナ・オペラ」、つまり女性主役が中心のオペラです。ヒロインのヴィオレッタはほぼずっと舞台にいて、音楽は彼女の心模様を丁寧に描いていきます。
そんなヴィオレッタは「難役」としても知られます。第1幕のアリア〈ああ、あれはあの人かしら〉では揺れる心を超絶技巧に託さなければならないし、第2幕以降ではより演劇的な表現が求められる。
「超」がつくほど有名なオペラなのに、なかなか「これ!」というヴィオレッタに出会えないのは、それだけ至難の役柄だからでしょう。あなたの心に残るヴィオレッタに、どうか出会えますように。
『椿姫』(全3幕)19世紀のパリを舞台に、享楽的な世界に身を置く娼婦のヴィオレッタと、純真な若者アルフレードの道ならぬ恋を描く。アルフレードの父ジェルモンとの葛藤もドラマティックに展開。作曲、初演(イタリア・ヴェネツィアの「フェニーチェ劇場」にて/写真上)ともに1853年。原作はアレクサンドル・デュマ・フィス。
取材・文/加藤浩子 編集協力/三宅 暁(編輯舎) 取材協力/日本ヴェルディ協会 市浦純子 写真/すべてamanaimages
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。