「ヴェルディ」の魅力 第5回(全8回) イタリアの作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディ。アニバーサリーイヤーを祝し、不世出の奇才の深い魅力に迫ります。
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『椿姫』は、人生で初めて聴いたオペラ
リセット・オロペサ(Lisette Oropesa)アメリカ・ルイジアナ州生まれ。メトロポリタン・オペラを経て世界の大舞台で活躍中。2023年9月に東京・横浜で開催予定の「ローマ歌劇場 2023年日本公演」にて『椿姫』に主演。©Steven Harris2023年9月に、ローマ歌劇場の日本公演で『椿姫』のヴィオレッタを演じます。この役を務めることは、私にとって大きな意味があり、他の役を経験してまたこのキャラクターに戻る(演じる)のはいつも深い喜びを感じます。
『トラヴィアータ』(邦題『椿姫』)は、私が人生で初めて聴いたオペラでもあります。母がこの作品に登場する曲をよく歌っていて、いつもそれを聴いていたからです。
ヴィオレッタは凜として強く、周囲への要求も厳しいけれど、寛大で女性らしい包容力を併せ持っていると感じます。愛する人のために自分を犠牲にするのもいといません。自分の過去と未来についても深く考えていて、単なる悲劇のヒロインではありません。つらい現実に向き合っても愛の大切さを忘れず、簡単にその愛を手放すことはしないのです。
2022年9月にもコンサートで東京に滞在しましたが、オペラを全幕通して歌うために再び日本へ行くのが待ちきれません。本当に刺激的なこの美しい国に戻れることを、心から楽しみにしています。