住宅を機械にたとえた建築家が描いた絵画
ナビゲーター・文/青木 淳
シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエ)《ランタンとギターのある静物》(1920年手前)などを展示。連続窓内の照明が壁全体を照らす回廊型空間の2階展示室。(c)FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365ル・コルビュジエは、近代建築を牽引した巨人の一人。
「住宅は住むための機械である」というセリフでも有名だ。この言葉に、住宅を冷たく非人間的な機械にたとえるなんて、と皆が憤ってきた。しかし彼が「機械」に見ていたのは、ちょっと違うこと。
では、それはどんなこと?この展覧会には、そのヒントが詰まっている。
ル・コルビュジエは、午前中にアトリエで絵を描き、午後に建築を設計し、夜に原稿を書いた。パリで新進建築家としてデビューする前は、むしろ絵画が生活の中心。
この展覧会は、その彼の絵画における探求に焦点を当てている。パリに出てきた彼がオザンファンに師事して「ピュリスム」絵画を描くようになり、ついでキュビスム絵画に触れることで独自の試みをはじめ、その結果かどうか、彼が建築に軸足を移すまでの時代が、彼が描いた絵画と彼が触れた絵画によって再構成されている。