365日美と健康のお悩み相談室 毎日更新の美容&健康のコラム連載。今知りたい気になる話題から、すぐに試せるテクニックなど、美容と健康のプロが皆さんのお悩みに答えます。
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ゲストの一覧 【お悩み】加齢による体の乾燥が気になります
デリケートゾーンも乾燥するのですか?ドライアイやドライマウスは聞いたことがありますが……。
【回答】粘膜は防御の最前線。その状態は健康のバロメーターに
加齢で涙液が減少したり、パソコンやスマホを凝視するあまりまばたきが減って目が乾き、ゴロゴロとした不快感や見えにくさが生じる「ドライアイ」。
また、精神的なストレスで唾液が減少したり、口呼吸で口内が乾き、飲み込みにくさや口臭を引き起こす「ドライマウス」。いずれも、体の内と外の境界に位置する器官で、その最表面が潤いを失うことで生じる不具合です。
「目と鼻は体の表面にあり、役割を果たすために、ほこりやウイルスなどの異物を排除する仕組み・免疫システムを標準装備しています。
その最前線ではたらくのが、繊細な粘膜の表面を常に満たす『粘液』。ほこりが付着すれば、自然と涙や鼻水が出てきて、押し流そうとしますよね。皆さん、ドライアイやドライマウスは気にしていると思いますが、実は同じような“潤い不足による不具合”は、膣の中でも起きています」と語るのは、植物療法士の森田敦子さんです。
異物を押し出す粘液は、免疫システムのフロントラインに「デリケートゾーンは軟組織で、中でも膣は粘膜に覆われています。私たちの命をつなぐ受精の場面では、精子をしっかりと絡め取り卵子へと送り届ける吸収系ですが、不要になった精子やウイルスなどの異物は速やかに排出しなくてはなりません。このとき、膣の粘液が非常に重要な役割を果たすのです」(森田さん)
「吸収と排泄」の機能「口内の唾液を例に考えてみましょう。唾液は噛み砕かれた食物と一体になって喉から食道を通ります。おいもやパンを食べていて唾液が足りないと、飲み込みにくく、水やお茶で補いますよね。
一方、いたんだ食べ物や砂粒などは吐き出しますが、このときも口の中が唾液でいっぱいになり、積極的に押し出そうとします。このように、吸収系であると同時に排泄系でもある器官では、粘液が十分にないと、吸収・排出いずれもうまく機能しません。これはそのまま、膣にあてはまるのです」(森田さん)
ネバネバ食材で粘液力を高めるなるほど、唾液や涙と違い、膣の潤いは把握しにくいものの、体本来の仕組みを考えると「潤っていること」は健やかさの証し。
「涙や唾液、粘液の組成はそれぞれ異なりますが、食べたものから作られます。長いもやオクラ、里芋、じゅんさいなどネバネバした食べ物や、納豆や味噌、たまりなどの発酵食品を積極的に摂りたいですね」(森田さん)
目や口内、肌など、体全体の乾燥が気になるときは、デリケートゾーンも潤い不足かもしれません。膣まわりの健康にも目をむけてみましょう。
森田敦子/Atsuko Morita
植物療法士。客室乗務員時代に植物療法に出合い、フランス国立パリ13大学で植物薬理学を学ぶ。帰国後、フィトテラピー(植物療法)やアロマテラピーを取り入れたバイオベンチャーを設立。その後、植物療法を追求しながら女性のからだを第一に考え、デリケートゾーンのためのブランドを立ち上げる。2020年には、トータルライフケアブランド「Waphyto」をローンチ。『自然ぐすり』『潤うからだ』(ともにワニブックス)ほか著書多数。
イラスト/umao 取材・文/佐野有子
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