幸福長寿に導く5つの活 第12回(全16回) 「幸福長寿」の決め手は、健康寿命をいかに延ばせるかということ。そして、それは自分でも心身の衰えを感じるようになった今からの生活の過ごし方とも深くつながっています。“現在の私と未来の私”のためのセルフメンテナンス法をご紹介します。
前回の記事はこちら>> 眠活【実践編】
ほんの少しの工夫でOK。睡眠時間を確保する鍵を知る
〔お話ししてくれたのはこの方〕西野精治先生スタンフォード大学医学部 精神科教授。1987年大阪医科大学大学院からスタンフォード大学医学部精神科に留学。過眠症「ナルコレプシー」を研究、2000年に主たる発生機序を突き止める。05年より同大学睡眠生体リズム研究所所長。【生活リズムと入眠儀式】就寝時刻を意識して食事や作業の時間を決める
眠気を誘うコツは就寝前に深部体温と皮膚表面の温度の差を小さくすることです。そのためには入浴が役立ちます。就寝90分前に入浴してよく温まることで皮膚表面の温度とともに深部体温も上げておくと、皮膚から熱が放散されて、深部体温が徐々に下がっていき、眠りやすくなります(下のグラフ)。
就寝90分前の入浴が深部体温を下げ、睡眠のスイッチを入れる深部体温を下げ、皮膚温度との差を小さくすると眠気を感じやすくなる。入浴した場合としない場合ではその下がり方が明らかに違うことがわかる。西野精治『スタンフォード式最高の睡眠』をもとに作成足が冷えるために寝るときに靴下をはく人もいるかもしれません。手足は熱の放散を担うため、カバーしていると熱がこもり、かえって眠りにくくなります。足が冷えるなら、足湯を。末梢血管が開き、熱放散しやすくなります。
寝室の室温は夏は24〜26度、冬は22〜24度を目安にします。音が静かであることも大切です。枕や布団は通気性のよいものを選びましょう。
夜はほのかな明るさの間接照明で光が直接目に入らないようにすると副交感神経が優位になり、眠りやすくなります。就寝1〜2時間前からは交感神経や覚醒系の神経伝達を活発にするスマホやタブレットの操作、テレビの視聴は避けましょう。激しいビートの音楽やドキドキする面白い本は遠ざけます。また、悩み事を考えすぎるのも禁物です。
お酒は大量に飲むといったん眠っても覚醒してしまうことが知られています。「強めのお酒を少量、ナイトキャップとして飲むなら、睡眠の質は下がりません」と西野先生。
夜の質のよい睡眠のためには朝の過ごし方も大切です。
起床時間を一定にすると体内のリズムが整います。目覚まし時計は前夜、小さな短い音にセットし、念のためもう1つの目覚まし時計を20分後にセットしておくと驚かずにすっきり目覚められます。
起きたらすぐに日光を浴びましょう。それによって体内時計がリセットされ、14〜15時間後に眠りに誘うホルモン、メラトニンが分泌されやすくなります。
朝食には、具だくさんのスープがおすすめです。体を温め、よく咀嚼することで心身を覚醒させます。