日本人間ドック学会理事長の荒瀬康司先生が提唱。今こそ、カラダの総点検を!
日本人間ドック学会理事長 荒瀬康司先生日本病院会参与 虎の門病院付属健康管理センター・画像診断センター 顧問 戸塚ロイヤルクリニック。東京大学工学部応用科学科修士課程、日本大学医学部卒業。虎の門病院肝臓科勤務を経て2008年、同病院健康管理センター統括センター長に就任。21年4月より顧問。22年6月、日本人間ドック学会理事長に就任。この分野の第一人者として知られる。【コロナ禍の今 点検すべきことは?】
ステイホームの影響を強く受けたメタボリックシンドロームと、運動器・骨密度をチェックする
「外出自粛が続いたことで運動不足になる人が増え、それに伴ってカロリー消費量が減り、体重が増えた人も実に多くなりました。体重が増えると血圧、血糖、コレステロールの数値が上昇するのでメタボリックシンドロームの比率も高まっています」と荒瀬先生は警鐘を鳴らします。
さらに家でじっとしたまま動かないでいると筋肉量が減ってきます。「40歳を境に筋肉の萎縮が始まり、年に1パーセント程度ずつ筋肉量は減っていきます。そこに外出自粛による運動不足が重なり、40~50代のロコモティブシンドローム(運動器症候群)が増えていることを心配しています」と荒瀬先生。
ロコモからフレイル(虚弱)やサルコペニア(全身の筋肉量が減少し、筋力や運動機能の低下が進行する状態)に進展するおそれも十分あり、将来の要介護や寝たきりリスクが高まっています。
「今、点検しておきたいのは運動器です。血液中のたんぱく質の量がわかるアルブミンを調べておくのもよいでしょう。いったん低下すると元に戻すのは難しく、筋力が落ちる前に見つけることが大事です。それは骨密度にもいえることで運動器と合わせてチェックしておきたいもの。これらは幸福寿命を延伸できるかどうかにも深くかかわってきます」
※1…健康な高齢者が2週間、あまり動かないでいると脚の筋肉量が3.7%減少。60 ~80歳の日本人は平均で年に約1%ずつ脚の筋肉が減っていくことから約3.7年分に相当する。J Clin Endocrinol Metab.2013;98(6):2604-2612 ※2…座位と30分ごとに3分間歩行やレジスタンス運動(筋力トレーニング)をした場合の比較で、座位のほうが食後血糖値の高い状態が続いた。Paddy C.Dempsey et al.Dia Care 2016;39:964-972 「新型コロナウイルスによる健康二次被害防止啓発・公式サイト健康二次被害防止コンソーシアム」HPを参考に作成