病気の早期発見を目指す「人間ドック」
人間ドックは病気が見つかるから受診するのが怖いと思っていませんか。病気の早期発見は人間ドックの重要な役割の一つですが、それだけではありません。人間ドックの上手な受け方を中心に本田律子先生に詳しく解説していただきました。
虎の門病院付属 健康管理センター・画像診断センター 統括センター長 本田律子先生東京大学医学部卒業。専門は糖尿病。自治医科大学、朝日生命成人病研究所・付属医院、国立国際医療研究センターなどで基礎研究・臨床活動、政策医療業務に従事。2016年、虎の門病院に着任。21年4月より現職。豆知識
「人間ドック」のネーミングは船を点検・修理するドックに由来する
日本人間ドック学会によると、人間ドックを最初に組織的に導入した医療機関は、国立東京第一病院(現国立国際医療研究センター)で、それは今から68年前の1954年7月のことです。次いで聖路加国際病院が開始し、全国の病院に次々に広まっていきました。
「人間ドック」というユニークなネーミングは、船の点検や修理をするドック(dock)に由来するといわれています。長い航海の後、ドックに入って点検・修理する船のように、人間も定期的にドックで総点検することが必要だという思いから名づけられたと考えられています。
●参考文献:日本人間ドック学会ホームページ「一般のみなさまへ/人間ドックで何がわかるの?」【人間ドックの目的とは?】
自覚症状のない時期に病気やリスク因子を見つけて「病気の芽」を早めに摘み取る
80年以上前に日本で開発された人間ドックは世界でも類を見ない優れた予防システムです。今や私たちの健康を守ってくれる重要なツールとして社会に根づいています。
「人間ドックの役割は大きく分けて2つあります。1つは多くの受診者のかたが期待されているように隠れている病気を早期に発見して適切な治療につなげること。もう1つは将来、重大な病気に進展しそうな要因(高血圧、脂質異常症など)を見つけ出して早期に対処すること。いずれも“病気の芽”を早く摘み取り、健康を維持・向上させることが目的です」と本田律子先生は説明します。
このような人間ドックの目的を最大限に活用するには自覚症状のない段階で定期的に受診することが何よりも大切です。
本田先生によれば人間ドックのメリットをさらに享受するための上手な受け方のポイントがいくつかあるそうです。次回(2022年10月20日配信予定の第4回)から具体的に紹介していきましょう。
取材・文 渡辺千鶴 撮影 田中 雅、柳原久子、本誌・大見謝星斗、伏見早織 イラスト 岡部哲郎
『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。