病気の早期発見を目指す「人間ドック」
人間ドックは病気が見つかるから受診するのが怖いと思っていませんか。病気の早期発見は人間ドックの重要な役割の一つですが、それだけではありません。人間ドックの上手な受け方を中心に本田律子先生に詳しく解説していただきました。
〔解説してくださるかた〕虎の門病院付属 健康管理センター・画像診断センター 統括センター長 本田律子先生
●前回の記事
人間ドックの名前の由来、「ドック」の意味は?人間ドックの上手な受け方、4つのポイント
1.経年変化を把握できるよう定期的に人間ドックで検査を受け、健康データを蓄積する
将来病気に進展しそうな要因を見つけ出し、発症前に対処して未病対策を行うには、検査結果が毎年どのように変わってきているのかという経年変化を追うことが必要です。
「追跡するには人間ドックを年1回定期的に受診することが望ましいです。また、現時点では同一施設を継続して利用することに一定のメリットがあります」と本田先生はアドバイスします。
私たちは、人間ドックのパンフレットを見ても実施される検査の基本項目はどこも同じだから、受診する施設が毎年違っても問題はないだろうとつい考えてしまいます。
しかし、施設によって検査機器や測定法、検査の各項目の基準値や判定ランクが多少違う場合があります。「国や日本人間ドック学会では、施設間の基準を統一して受診する施設が違っても比較できるデータを蓄積する仕組みづくりを目指しています。しかし、この仕組みは整備中のため、現時点ではデータを比較するという意味において同じ施設で受けたほうが便利でしょう」
それは血液検査などだけではなく画像検査でも同じことがいえます。例えば胸部X線検査で異常が疑われたときには、過去の画像データと比較してもらうことが重要になる場合があります。
また、検査記録が残っていると結果に応じて必要なタイミングで再検査を促してもらうことも可能です。
例えば以前に大腸内視鏡検査を受けてポリープを切除していた場合、再検査の時期が来たタイミングで「そろそろ大腸内視鏡検査を受けたほうがいいですよ」といったアドバイスがもらえます。
このように定期的に人間ドックで検査を受けて健康データを蓄積することには、たくさんのメリットがあることを知っておきましょう。
定期的に人間ドックを利用するメリット
●異常が見つかったとき、過去のデータと比較ができる
●検査記録が残っているので、結果に応じて必要な再検査のタイミングを指示してもらえる