病気の早期発見を目指す「人間ドック」
人間ドックは病気が見つかるから受診するのが怖いと思っていませんか。病気の早期発見は人間ドックの重要な役割の一つですが、それだけではありません。人間ドックの上手な受け方を中心に本田律子先生に詳しく解説していただきました。
〔解説してくださるかた〕虎の門病院付属 健康管理センター・画像診断センター 統括センター長 本田律子先生
●前回の記事
メリットをさらに享受する「受け方」4つのポイント【人間ドックの探し方】
最新機器と専門スタッフを揃え、充実した結果説明体制のある人間ドックが安心できる
人間ドックは健康な人を対象とする医療サービスなので健康保険を使うことができず「自由診療」という枠組みの中で運営されています。そのため、人間ドックの質を担保するような国の審査や制度は特にありません。
また、費用もそれぞれの施設が価格設定できるため、一部には“安かろう悪かろう”といった人間ドック施設が存在するのもまた事実です。
この状況の中、安心して受診できる人間ドックの条件とは何でしょうか。まず着目したいのは専門スタッフが配置されていることと高性能の検査機器が揃っていることです。
これらは隠れている病気やリスク因子を見つけ出すための重要なポイントです。費用が高ければ質もよいというわけではないものの、最新の検査機器を積極的に導入している施設は費用も高額になりがちだといいます。
「受診者が検査の精度を確認するのは難しいので、日本人間ドック学会が審査する機能評価認定施設が一つの目安になると思います。この審査では、施設体制、受診者の満足・安心、人間ドックの質の3方向から審査項目を定め、書類審査に加えてサーベイヤー(評価調査者)による実地審査もあり、5年ごとに審査を受けなければなりません。機能評価認定施設の情報は公開されており、人間ドック施設を選択する際の参考にもなります」
また、本田先生は結果説明体制の充実も挙げます。
「人間ドックを受診する一つの価値は、結果に基づいて将来のリスクを予測し“病気の芽”を摘み取って健康寿命を延伸することだと考えます。それには、私たち医療者が保健指導や結果説明などを通し、経年的に受診者の健康に寄り添うことが重要です。こうした視点から人間ドック施設を選択する際には結果説明体制の充実度にも着目していただくのがよいと思います」
〔豆知識〕
安心できる優良人間ドックを探したいときは?
日本人間ドック学会では、受診者が安心して健康診断を受けられるよう人間ドック健診施設の機能評価認定を行っています。審査項目は「施設体制」「受診者の満足・安心」「人間ドックの質」の3方向から定められており、なかでも下の4項目を重視しています。
(1)安全で正確な検査であること
(2)検査当日に医師からの結果説明があること
(3)保健指導(生活のアドバイス)があること
(4)検査後のフォローアップ体制があること
機能評価認定施設は全国に391施設(21年5月現在)あり、日本人間ドック健診協会が運営するサイト「e人間ドック~いい人間ドックを選ぼう」で検索することができます。
●「e人間ドック~いい人間ドックを選ぼう」
https://www.e-ningendock.jp/ 取材・文 渡辺千鶴 撮影 田中 雅、柳原久子、本誌・大見謝星斗、伏見早織 イラスト 岡部哲郎
『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。