眼疾患を早期に発見し、クリアな視界を保つ「眼科ドック」
今、市区町村の健康診断の検査項目に、必ずしも眼科の検診は含まれていません。うっかりすると、失明につながる目の病気の進行を放置してしまうことに――。老眼が始まったら目の老化のサインととらえ、定期的に眼科検診を受けましょう。
井上眼科病院院長 井上眼科病院グループ理事長 井上賢治先生千葉大学医学部卒業、東京大学医学部大学院修了。2008年井上眼科病院グループ理事長、12年井上眼科病院第11代院長に就任。緑内障を専門とし若手医師の教育にも尽力。なぜ必要?
40代から増えてくる目の病気。多くは、自覚症状がないまま静かに進む
情報の8割は目から入ってくるといわれます。視力が落ちたり視野が狭くなるなど目の機能が低下すると、活動範囲が限られる、つまずきや転倒が増えるなどその影響は心と体に広く及び、認知機能の低下にもつながりかねません。
目は2つあるので、片方の機能に異常が生じてももう片方の目がカバーするため、気がついたときはかなり進んでいるケースが多いのが眼疾患の厄介なところ。しかも、放っておくと失明の恐れのある緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性は、一度機能を失ってしまうと治療を行っても回復が難しいのです。
「だからこそ眼疾患は早期発見・早期治療が大事なのです。そのために有効な唯一の方法が眼科検診、眼科ドックの受診。これらの病気が増え始める40代は、老眼を意識する年代とほぼ一致します。老眼が始まったら他の眼疾患も増えてくる年代なのだと自覚して、眼科ドックを受けるきっかけととらえましょう」(井上賢治先生)
2008年以降、自治体が実施する健康診断がメタボ健診中心になり、眼科検査は必須項目ではなくなりました。うっかりすると目の検査を受けずに何年も過ぎてしまうことになります。目の健康は、自ら行動しなければ守れない時代なのです。
このような人におすすめ
●40歳を過ぎた
●3年以上、眼科を受診していない
●緑内障の血縁者がいる
●強度の近視がある
●パソコンやスマホで目を酷使している