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検査結果数値の「異常」=病気?数値に振り回されない患者の心得とは

2018.05.25

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お医者さまの取扱説明書 総合内科医の尾藤誠司先生に、患者と医師の良好コミュニケーション術を教わります。記事一覧はこちら>>
検査結果の数値が基準値からはみ出ると、私たちは心配になり、医師は何とか手段を講じようと動きます。

しかし数値の持つ意味合いはさまざまで、必ずしも病気と直結せず、さほど気にする必要のない場合も。「どれくらい深刻ですか?」のひと言が、自分自身の安心にも、不必要な治療を免れることにもつながります。

尾藤誠司先生


尾藤誠司(びとう・せいじ)先生
1965年、愛知県生まれ。岐阜大学医学部卒業後、国立長崎中央病院、国立東京第二病院(現・東京医療センター)、国立佐渡療養所に勤務。95年〜97年UCLAに留学し、臨床疫学を学び、医療と社会とのかかわりを研究。総合内科医として東京医療センターでの診療、研修医の教育、医師・看護師の臨床研究の支援、診療の質の向上を目指す事業にかかわる。著書に『「医師アタマ」との付き合い方』(中公新書ラクレ)、『医者の言うことは話半分でいい』(PHP)ほか。

その数値は心配なのか?わかりにくい検査結果


検査結果を知らされる前は誰しも少なからず緊張し、不安を抱くものです。示された数値が正常範囲を大きく超えて高かったり(低かったり)すると、大変なことになったと目の前が一瞬、真っ暗になるかもしれません。

しかし、「数値だけで病気と診断されるケースはむしろ少数。たとえ基準値から大きく外れていても、さほど心配のない場合が意外に少なくありません」と尾藤誠司先生はいいます。私たちにはわかりにくい検査の数値の意味。いったいどうとらえたらよいのでしょうか。

血液検査の数値が病気と直結しているものに、糖尿病と脂質異常症があります。血糖値が診断基準に当てはまれば糖尿病、コレステロール値や中性脂肪が異常値を示すと脂質異常症と自動的に病名がつきます。すると多くの医師の思考は、放っておいてもまず大丈夫な場合でも、何らかの治療を施して異常値を正常範囲内に戻そうとする方向に働きます。

しかし、数値の異常と病状の深刻さは必ずしも一致しないのです。

「たとえば中性脂肪(基準値は32〜134mg/dl)が300mg/dlだとしたら、あまりの高さにびっくり仰天するかもしれませんが、実はそれほど大したことではありません。

一方、血糖値(おおよその基準値は70〜130mg/dl)が300mg/dlだったら……これは大問題。即、入院の可能性もあります。その違いは患者さんには判断できません。医師に、自分の数値はどれくらい深刻なのかを確認してみましょう」(尾藤先生)

この問いかけが、「数値的には病気だけれど、治療をせずに様子を見てみよう」との選択肢につながることもあります。
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