今回は「1.温泉浴」におすすめの泉質10種類とその効能などをご紹介します。(前回の記事は
こちらから)
世界一の温泉大国で“贅沢な湯治”のすすめ
洋の東西を問わず、温泉は古くから人々の病気やけがを癒やし、健康を取り戻すことに貢献してきました。
「ヨーロッパの人々は万病に効く温泉に不老不死を求め、中世の絵画では“若返りの泉”として描かれています。
また、兵士の傷を癒やすことにも利用され、わが国でも神功皇后が傷病兵を嬉野温泉で療養させたといういい伝えが残っています」と温泉療法専門医の保﨑泰弘先生は温泉の歴史について語ります。
保崎泰弘先生
広島逓信病院副院長・第一内科部長 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医温泉法では、19種類の物質のうちいずれか一つを含み、25度以上の温水、鉱水、水蒸気・ガスを温泉と定義づけています。
そして、含有物質から温泉は10種類の泉質(
3ページ参照)に分類され、それらの効能や作用も科学的な観点から分析が行われてきました。
「“熱の湯”と呼ばれる塩化物泉は昔から保温効果が高いことが知られています。これは温泉成分が皮膚表面に被膜を形成し、熱の放散を少なくしているからです。
そのため、全身の血行がよくなり、神経痛、筋肉痛などの疼痛緩和に効くのです。湯上がりのシャワーはこの効果が失われるのでおすすめしません」
また、温泉水の化学成分が皮膚から体内に吸収されることも科学的に明らかになっています。
二酸化炭素泉では温泉に溶け込んでいる二酸化炭素が皮膚から体内に入り込み、血管を拡張して血圧を下げたり血流を改善したりする作用があります。
さらに、硫黄(いおう)泉に含まれる硫化水素も皮膚から吸収され、血管拡張作用により動脈硬化症を予防します。
ただし、硫化水素は空気より重いので入湯する際はこまめに換気をする必要があります。