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高齢者特有の病気や生活に計画的に対応する訪問診療

2019.11.21

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未来の医療 進歩する生命科学や医療技術。わたしたちはどんな医療のある未来を生きるのでしょうか。「未来を創る専門家」から、最新の研究について伺います。今回は「高齢者特有の病気や生活に計画的に対応する訪問診療」についてです。前回の記事はこちら>>
今回から2回にわたって、悠翔会理事長として70名以上の医師(非常勤も含む)をまとめ、東京で訪問診療に携わる佐々木 淳さんに、高齢者の在宅医療の今、そして未来について話していただきます。

第1回は高齢化の現状と将来予測、高齢者の病気の特徴とそれに対応する医療について取り上げます。

〔未来を創ろうとしている人〕佐々木 淳(ささき じゅん)さん


佐々木 淳(ささき じゅん)さん

医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長
1998年筑波大学医学部卒業後、社会福祉法人三井記念病院に勤務。東京大学医学部附属病院消化器内科、医療法人社団哲仁会井口病院副院長、医療法人社団玲瓏会金町中央病院透析センター長等を経て、2006年MRCビルクリニック(現・悠翔会)を設立。08年医療法人社団悠翔会理事長に就任。首都圏を中心に全12クリニックで、24時間対応の在宅総合診療を展開している。

2060年、認知症の人と子どもの人口比がほぼ同じになる


2025年、日本では65歳以上の高齢者が3人に1人の割合になり、5.5人に1人は75歳以上の後期高齢者になると予想されています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)。

一方、高齢者を支える若年者は減り続けており、現在は65歳以上の人1人を20〜64歳の2人強で支えていますが、これが50年には1.3人で支えることになります。

個人差はあるものの、年を重ねるにつれて介護が必要となり、また認知症になる可能性が高くなるのは否めません(下グラフ)。

年齢を重ねると誰もが要介護状態になる
介護予防・介護サービス受給率(%)


グラフ

出典: 介護給付費実態統計(平成29年11月審査分)

年齢とともに認知症になる割合が上がる
認知症と診断された人の割合(%)


未来の医療

出典:「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(平成21年〜24年)

60年には日本の高齢化率は約40パーセントで、高齢者の約3分の1が認知症になっており、認知症の人と子どもの人口比がほぼ同じになるともいわれています。

今も足りない医療や介護の担い手はさらに不足します。介護分野では25年には16年に比べて55万人の増員が必要になると予想されます。

「現在の全国の警察官が約29万人ですから、その規模の大きさがわかります」(佐々木さん)。

また、医療者の高齢化も進み、「地域で訪問診療を行っている開業医も、遠くない将来ご自身が訪問診療を受ける立場になるわけです」。

現状でも都市部には医師や医療機関が多い半面、地域によっては医療過疎になっているところもあり、今後受けられる医療サービスの格差が大きくなることも予想されます。
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