知っておきたい! 頼りになる専門外来 治療を続けているのによくならない、今の治療効果に満足していない――。このような悩みを抱える人は少なくありません。こんなときに頼りになるのが「専門外来」です。一般外来ではなかなか受けられない個別性の高い治療が期待できます。今回は「ピロリ外来」についてです。
記事一覧はこちら>> 除菌治療後も内視鏡検査による定期的なフォローアップを重視し、総合的なピロリ菌感染症対策に取り組む
胃がんは日本人に多いがんの一種で、女性がかかるがんの中でも3番目に多いことがわかっています。
その予防には、胃がんの発症リスクを高める因子であるピロリ菌の除菌治療が有効だといわれています。
そこで、ピロリ菌感染の診断から除菌治療、除菌後のフォローアップまで総合的に取り組む外来をご紹介します。
練馬総合病院 外科
副院長 診療部長 内視鏡センター長
栗原直人(くりはら・なおと)先生1989年、鹿児島大学医学部卒業。慶應義塾大学病院で初期研修後、91年、慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。米国コーネル大学留学などを経て2006年より練馬総合病院に勤務。17年副院長。専門は消化器がん。内視鏡検査を得意とし年間実施件数は約800件。日本ヘリコバクター学会評議員。日本消化器内視鏡学会・消化器病学会指導医、関東支部評議員。日本外科学会/消化器外科学会指導医。医学博士。ピロリ菌とは?
1983年に発見された胃の中に生息する細菌で、正式名称はヘリコバクター・ピロリ。
長い年月をかけて持続的に感染し慢性的な炎症を起こして萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫、胃過形成ポリープといった胃疾患や特発性血小板減少性紫斑病などの原因となることがわかっている。
これらの疾患は「ピロリ菌感染症」と考えられており、国の定める条件を満たせば除菌治療が保険診療で認められている。
患者数は?
1990年代に行われた疫学調査では、日本人の約半数(約6000万人)がピロリ菌感染者であると推計されていた。
除菌治療が普及した現在、その数は3000万人未満まで減少したと考えられている。
50歳以上の中高年者の感染率は50~80パーセントで、高齢者ほど高率である。20歳以下の若年者の感染は少なく、10~20パーセント前後だと考えられている。
ピロリ菌外来とは?
ピロリ菌に感染しているかどうかを診断し、感染している場合は国が定めた1次、2次除菌治療を実施する。
除菌判定を確実に行い、除菌成功後も年1回、内視鏡検査によるフォローアップを定期的に行うことで、総合的なピロリ菌感染症対策に取り組む。
また、除菌できなかった人に対する高次除菌や抗生物質アレルギーを持つ人への除菌にも対応する。
こんな悩みは専門外来へ!
●人間ドックでピロリ菌に感染しているといわれた
●ピロリ菌を除菌した家族がいる、または胃がんになった家族がいるので、自分の胃がピロリ菌に感染していないか心配だ
●胃の調子がよくないことを自覚しているが、ピロリ菌の感染を調べたことがない