知っておきたい! 頼りになる専門外来 治療を続けているのによくならない、今の治療効果に満足していない――。このような悩みを抱える人は少なくありません。こんなときに頼りになるのが「専門外来」です。一般外来ではなかなか受けられない個別性の高い治療が期待できます。今回は「気象病外来・天気痛外来」についてです。
記事一覧はこちら>> 天気痛に対して薬物療法、生活アドバイス、運動指導などを行い、患者自身でコントロールできるように支援する
昔から“古傷が痛むと雨が降る”といういい伝えもあり、天気が痛みに大きな影響を与えることはよく知られています。
近年の研究によって気圧の変化や気温の寒暖差は、痛みをはじめさまざまな不調を引き起こすことが判明しています。
季節の変わり目にあたるこの時期、気象病や天気痛の診療に対応してくれる国内でも数少ない専門外来を紹介します。
愛知医科大学病院 痛みセンター
医学部 客員教授
佐藤 純(さとう・じゅん)先生1983年、東海大学医学部卒業。名古屋大学環境医学研究所などで疼痛生理学、環境生理学を学んだ後、87年から4年間、米国・ノースカロライナ大学で慢性疼痛と自律神経系の関連性について研究に従事。帰国後も気象病、天気痛、自律神経性疼痛の研究を進め、2009年に愛知医科大学病院 痛みセンターで日本初の気象病外来・天気痛外来を開設。現在は東京の竹橋クリニックで天気痛・気象病外来の診療にも取り組む。日本疼痛学会理事、日本運動器疼痛学会理事、日本生気象学会理事などを歴任。気象病・天気痛とは?
「気象病」とは気象の影響を受ける病気や症状の総称で、痛み、めまい、耳鳴り、劵怠感、狭心症、低血圧、ぜんそく、うつ病などさまざまなものがある。
このうち気圧の変化で痛みが悪化したり寒暖差によって体調を崩したりする病気のことを「天気痛」と呼ぶ。
天気痛には頭痛、肩こり、膝の痛み、リウマチの痛み、怪我後の痛み、線維筋痛症の痛みなどが知られているが、どのような痛みも天気の影響を受ける可能性があると考えられている。
患者数は?
2015年に発表された大規模調査(2687人が回答)によると、3か月以上の慢性痛が続く人(全体の39.3パーセント)のうち約25パーセントにあたる人が「天気が悪いときや天気が崩れるときに痛みが悪化する」と回答している。
これは調査回答者の約1割にあたり、成人の人口(約1億500万人)にあてはめると天気痛に悩まされる人は国内に1000万人以上いると推定され、珍しい病気ではないことがわかる。
気象病外来・天気痛外来とは?
天気(気圧・気温)の影響を強く受けて悪化する頭痛やめまい、劵怠感など体の不調に対して薬物療法や生活のアドバイス、運動指導などを行い、患者自身が気象病・天気痛をコントロール(発症予防・症状緩和)できるようサポートする。
専門外来を開設している施設は少ないが、近年、慢性痛の専門医を中心に気象病・天気痛の診療に取り組む医師が増えている。
こんな悩みは専門外来へ!
●雨が降りそうになると頭痛やめまいがする
●雨が降ると傷や関節が痛む
●季節の変わり目に体調を崩す
●天気が悪いと気分が沈み、何もする気になれない