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がんになった医療者の治療選択と向き合い方。産婦人科医 杉山 徹さん 第3回(後編)

2017.11.10

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産婦人科医が肺がんになった場合

肺がんが見つかり、治療を受けてから7年が経過して、ほぼ治癒とみなされる状態になった杉山 徹さんは、病院長として産婦人科教授としての日常を取り戻しています。第3回では、がんになって人生を仕切り直したという杉山さんの今の思いと活動、これからの抱負を伺います。



岩手医科大学 附属病院 病院長 医学部産婦人科学教室 主任教授
杉山 徹(すぎやま・とおる)さん 65歳

がんとのつきあいはマラソンのようなもの
自分に合うコーチ、ペース、ゴールを見つけるのが大事


「医療者と患者さんが手を携えて、将来のがんの治療環境の整備を進めることができればと思う」

健康なときから心身やがんについて学んでほしい


臨床試験への参加を含め、治療の選択にあたっては、現在の自分のがんの状態、そしてどのような治療法があるかを知る必要があります。杉山さんは主治医や看護師、薬剤師などの医療者に加えて、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターやがんサロン、がんの患者会、「がん情報サービス」のような信頼できるサイトなどで情報を得ることをすすめます。

「患者は医学の知識は乏しくても、自分の人生における希望、治療において何を重視するかを伝えなければ治療を決められない。受け身やお任せではよい治療に到達できません。情報を得て、希望を伝えることが基本です」。

杉山さんは、がんになってから急にがんについて学ぶのではなく、できれば子どものうちから心身に興味を持ち、タバコを吸わない、必要な検診を受けるといったがんの予防法を知ってほしいと考えています。

文部科学省では政府のがん対策推進基本計画をもとに2014年度から学校でのがん教育のモデル事業を始め、教材も開発してきました。そして2018年度から実施される新学習指導要領には中学校の保健分野でがんについて取り扱うことが明記されています。杉山さんは、岩手医科大学緩和医療学科特任教授の木村祐輔さんらとともに全国に先駆けてがん教育を検討し、2014年から独自のプログラム「キャンサーセミナー」を小学校高学年と高校生を対象に開催してきました。

子どもたちは岩手医科大学の矢巾(やはば)キャンパスで医師や薬剤師、看護師からがんについての話を聞き、全身麻酔、外科手術、電気メス、超音波検査などのさまざまなシミュレーションを体験します。さらに高校生は“家族ががんを患った際の苦悩とは? さらに高校生である自分にはどのようなサポートができるか“というテーマでグループディスカッションを行います。また、依頼を受けて学校に出向く出前授業も行っています。

このように子どもたちががんについて学ぶ機会が増えれば、家庭や学校、病院などいろいろなところで子どもたちからがんについて尋ねられるかもしれません。私たち大人も知識を蓄えておきたいものです。


産婦人科医の教育も大切な仕事。
産婦人科主任教授として28人の医局員を率いる。症例検討会や学会発表の準備、論文抄読などで若手医師たちに助言する。
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