1日10分の呼吸瞑想を習慣に“自分のための時間”を意識して持ちましょう
こんなあなたへ●スマホから離れると、短時間でも落ち着かない。
●家事と介護だけで私の一日が終わってしまう。
●片づけが苦手で、部屋の中が物で溢れている。
川野泰周(かわの・たいしゅう)さん臨済宗建長寺派林香寺住職、精神科・心療内科医、RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長。1980年生まれ。慶應義塾大学医学部医学科卒業。精神科医療に従事した後、3年半の禅修行を経て2014年より実家である林香寺の住職となる。寺務の傍ら、精神科診療や講演活動を通してマインドフルネスの普及と発展に力を注いでいる。著書に『人生がうまくいく人の自己肯定感』(三笠書房)ほか。毎日を穏やかに過ごすために「幸せ力」を高める方法
あなたは自分を幸せだと感じていますか。誰かとの比較ではなく、“他人から見れば”とか“社会的平均点からすれば”でもありません。自分で「幸せだ」と思う主体的感覚をウェル・ビーイング(wellbeing)といい、そう思える力を私は「幸せ力」と呼んでいます。幸せ力の高い人は周囲の状況や他人からの評価に左右されない幸福感を得やすく、心穏やかに生きることが上手だといえるでしょう。
私は「禅僧、精神科医、マインドフルネス指導者」という3つの顔で多くの人々の心身の不調や悩みと向き合い、診療やアドバイスを行ってきました。メールでの相談も含めれば、かかわらせていただいたかたは数千人。この経験を通して感じるのは、現代人、なかでも中高年世代の女性たちの幸せ力に課題があるということです。そして同時に、マインドフルネスという心の持ち方を習慣づけると数か月で表情が穏やかになり、症状が治まっていく女性たちにもたくさん出会ってきました。
マインドフルネスとは、「今、ここにある体験や感覚に注意を向け、それをあるがままに受容する心の状態」をさし、日本古来の禅の教えと密接なつながりを有しています。この連載では「禅と西洋医学」両方の視点からマインドフルネスの考え方と実践法を紹介していきたいと思います。