2019年12月21日、新しい国立競技場のオープニングイベント「HELLO, OUR STADIUM」が開催されました。 太鼓芸能集団「鼓童」のパフォーマンスで幕を開けたイベントは、文化とスポーツ、音楽が融合した内容。 「東北絆まつり」の演舞が披露され、スポーツ界からはウサイン・ボルト氏や三浦知良氏、音楽界からはDREAMS COME TRUEと嵐が歌唱を披露し、フィナーレにはサプライズゲストとして、ゆずも登場。約6万人の大観衆を沸かせました。 スペシャルサポーターとして会場を盛り上げた松岡修造さんは、東京2020大会のメインスタジアムとなる国立競技場を、どのように感じたのでしょう? 2年前から携わっているという「東北絆まつり」への思いとともに尋ねました。
イベント開始前、トラックに登場した松岡さん。選手が前向きになれる、一体感のあるスタジアム
新しい国立競技場は、東京2020オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムにもなる神聖な場所です。
でも、競技場に入って、僕が真っ先に感じたのは「居心地がいい!」ということでした。
約6万人を収容する大競技場でありながら、いい意味で大きく感じない。客席を身近に感じる。心地よい一体感があるのです。
松岡さんの呼びかけでスタジアムの熱が高まります。オープニングイベントでトラックに立ったときも、1対6万人という感覚はなく、マイクで「一番上の人!」と呼びかけて、三層目の席の人たちと交流することもできました。
選手たちにとっても、お客さんにとっても嬉しいこの一体感、秘密は階ごとに異なる絶妙な観客席の角度と、空間を分断する柱が一切ないことにあると思います。
三層目の席からの眺め。柱がないため競技場全体が見渡せます。トラックからスタンドを見上げて、もう一つとてもいいなと思ったのが、木漏れ日をイメージした観客席の色です。
選手はお客さんが多いほどモチベーションが上がるものですが、この競技場は5色の観客席をランダムに配したことで、常に大勢のお客さんがいるように見えます。世界のほかの競技場にも見られる手法ですが、選手が前向きになれる名案ですね。
観客席は白、黄緑、グレー、深緑、濃茶のアースカラー5色。写真提供/独立行政法人日本スポーツ振興センターほかにも、国立競技場には、軒庇(のきびさし)の木材を47都道府県から調達して、一番北側に北海道の木材、南側に沖縄の木材というふうに日本の地理に合わせて使用している点や、真夏でも涼しく過ごせるように風の流れを計算した設計になっている点など、画期的な点がたくさんあります。
僕はまだ行けていませんが、散策ができる最上階の回廊「空の杜」も魅力的です。
南側の外観。木材をふんだんに使用したスタジアムは自然豊かな周囲の環境と調和しています。写真提供/独立行政法人日本スポーツ振興センター