由緒あるワインの地、トスカーナ南部スヴェレート
地中海性気候のイタリアでは、基本的にどの土地でもワインを造ることが可能ですが、優れたワインというのは限られた場所でしか生まれません。トスカーナ州はそんな天与のワイン産地の一つ。しかも、土地ごとに気候と土壌によりワインの性質は大きく変わるので、トスカーナには様々な銘醸ワインの里が存在しているのです。
例えば、17世紀にトスカーナ大公より優れたワイン産地として指定されたキャンティ、イタリアを代表するエレガントな長熟ワイン、ブルネッロの故郷モンタルチーノ、1980年代にスーパータスカン(スーパートスカーナ)と呼ばれる力強いフルボディのワインを生み出す地として注目を集めたボルゲリなどが知られていますが、それらの有名産地以外にもワイン愛好家が高く評価する場所が幾つかあります。その一つがスヴェレート。トスカーナ南の沿岸部にあり、古代の民エトルリア人が、「ワインの地」と呼んだほど、ワイン造りの歴史は古く、ポテンシャルに満ちた土地です。
北イタリアのフランチャコルタで、先進的なワイン造りを牽引したワイナリー「ベラヴィスタ」のオーナー、ヴィットリオ・モレッティ氏は、ボルゲリに近いのにさほど注目されていなかったスヴェレートの魅力にいち早く気づき、1990年代末に赤ワインを主力とするワイナリーを立ち上げました。イタリア語の“ピエトラニ(石)”から「ペトラ」と名づけられたそのワイナリーは、あらゆる点において先進的な発想を取り入れ、スヴェレートに再び「ワインの地」の誉をもたらしたのです。
なだらかな丘が続く沿岸地帯。ペトラの全敷地300haのうち、葡萄畑は100ha、残りはオリーブ畑とコルク樫の森。ワイナリーのエントランスに掲げられているのは、ワインのエチケットデザイン。