奈良の桜紀行 第4回(全25回) 奈良の桜こそ、私たちが今いちばん見たい風景ではないでしょうか。新たに誕生した宿、地元に愛される美食処とともに古都の桜の名所をご案内します。
前回の記事はこちら>> 長谷寺・安倍文殊院(桜井市)
絢爛たる美しさ。桜色に染まる花の寺
一年を通して四季の花々が楽しめる長谷寺と安倍文殊院。花の寺として名高い2つの名所は、春、桜一色に染められています。染井吉野、枝垂れ桜、奈良八重桜に山桜……さまざまな桜が広大な境内のそこかしこに咲き誇る長谷寺(上の写真)。
風雅な灯籠が吊るされた登廊に導かれてたどり着いた本堂に立つと、まさに舞台さながら桜にけむる祈りの里が一望できます。
かたや安倍文殊院では、500本の染井吉野が境内を彩ります。とりわけ文殊池の水面に姿を映す桜と金閣浮御堂の組み合わせは、一幅の絵を見るよう。
全景を見渡すには、晴明堂が建つ展望台に足を延ばして。
1.長谷寺
四季の風情を豊かに映す「花の御寺」、長谷寺。小初瀬山中腹に建つ舞台造の本堂(国宝)は、徳川家光による再建。本堂へと続く登廊は、桜が終わった4月下旬頃から牡丹に彩られる。
長谷寺桜井市初瀬731-1
TEL:0744(47)7001
近鉄「長谷寺駅」から徒歩15分 本尊特別拝観2022年7月10日、大講堂特別拝観6月5日まで開催中。
2.安倍文殊院
創建は645年。御本尊は「三人寄れば文殊の智恵」の諺で有名な文殊菩薩。快慶作、日本最大(7メートル)を誇る文殊菩薩像と4人の脇侍を伴う「渡海文殊群像」が国宝に指定。
安倍文殊院桜井市阿部645
TEL:0744(43)0002
近鉄、JR「桜井駅」から徒歩約20分 金閣浮御堂にて春の寺宝展開催中(2022年3月1日~5月31日)。
撮影/鍋島徳恭 取材・文/河合映江
『家庭画報』2022年4月号掲載。
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