365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> アゲラタム
淡い青紫が美しいアゲラタム。花弁が精細でふんわりソフトなイメージなのも魅力です。■属科・タイプ:キク科の一年草
■花期:6月〜10月
■草丈:15〜70cm
定番の花でも使い方で新鮮なイメージに!
熱帯アメリカ原産の宿根草ですが、耐寒性が弱いため日本では一年草扱いとされています。昔から夏の花壇でよく使われていたので、見慣れた花という印象しかなかったのですが、群馬県吾妻郡にオープンした「中之条ガーデンズ」を訪ねた際に「アゲラタム、すごい!」と、印象が一変しました。
英国園芸研究家の吉谷桂子さんが、レイズドベッド(床面を高くした立ち上げ花壇)を円形に組んだ「スパイラルガーデン」の外側をアゲラタムのブルーで埋め尽くすデザインをされていたのですが、一面アゲラタムの淡い青紫色に染まる景色はまるで海のよう! さまざまな花が咲く「スパイラルガーデン」が海に浮かぶ島のように見え、圧巻の景色に感動を覚えました。
「中之条ガーデンズ」のスパイラルガーデンと、その周囲を染めるアゲラタムの海。植えられたアゲラタムはなんと約8万株。ところどころに白花のアゲラタムも交じっています。以来、庭を見に出かけるたびに気をつけてみると、どこの庭でも花壇の縁取りなどにアゲラタムを上手に利用していて、暑さに強い丈夫な性質、花色の美しさ、花期の長さなど、あらためてアゲラタムが優れた花であることを実感しました。アゲラタムには淡い青紫色のほか、白や淡いピンクもあり、繊細な花弁のせいかどの花色も涼しげな印象があります。夏にうれしい涼感をもたらす花としても、もっと庭で使ってほしいなと感じています。
栽培の難易度
春先にポット苗で出回りますが、タネからでも容易に栽培できます。成長が旺盛で、管理の手間もかかりませんが、混みすぎると病気の原因になるので、終わった花は茎ごとカットして透かすようにします。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい ・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。