365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> ミズヒキソウ
花茎がとても長いといいますか、この茎全体が花穂なのですね。水引のように贈り物のラッピングの飾りに利用したくなります。■属科・タイプ:タデ科の宿根草
■花期:8月〜10月
■草丈:40〜80cm
秋の到来を感じさせてくれる清楚な花
本日はご紹介する写真が少し地味といいますか、花がごく小さいので、皆様よく目を凝らしてご覧ください。
私の実家の庭では、夏休みが終わりに近づく頃、サクラの木の下や垣根のすぐ根元、東向きの玄関の脇でミズヒキソウが花を咲かせていました。ミズヒキソウは半日陰の環境でよく育つことを経験から実感しました。
ごく小さな赤い花が細くて長い茎に並び咲くさまは、決して目立つわけではないのですが、それまでの夏の花とは少し異なる慎ましやかな花姿に、密かに秋が到来していることを感じ、ワクワクする夏が終わることに少しばかりの寂しさを感じたことをよく覚えています。
ごく細く長く伸びた茎に小さな花を連ねる姿は清楚さがあり、古くから茶花として親しまれてきました。その花姿を祝儀・不祝儀の際に利用する飾りひもの水引にたとえた命名は秀逸だと、花を見るたびに感心します。日本に自生する花で、繊細でありながらたくましさもあり、野山で咲いている姿もよく見かけます。
実家では庭で咲いているミズヒキソウを摘み、切り花としてアレンジによく利用していました。いまでもミズヒキソウを見かけると摘みたくなる衝動にかられますが、花泥棒はいけない、と自制しています。
栽培の難易度
耐寒性・耐暑性に優れ、痩せ地でも育つ丈夫な宿根草です。植えつけ時に元肥を土に混ぜておけば、追肥の必要はありません。地植えの場合は水やりの必要はありませんが、雨が降らない日が何日も続いて土壌がからからに乾いた場合はたっぷりと水やりしてください。長い茎に花が連なって咲くので、花がすべて終わってから茎の根元で切り戻します。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。