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“葉見ず、花見ず”。ユニークな生育サイクルのヒガンバナの仲間「リコリス」

2022.09.04

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365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。一覧はこちら>>

リコリス


リコリス
ヒガンバナの朱赤とはまた異なる華やかさのリコリス。群生させると圧巻の美しさです。これは‘ジャクソニア ロゼ’という品種。

■属科・タイプ:ヒガンバナ科の球根植物
■花期:7月中旬〜10月中旬

■草丈:20~60cm

「葉見ず、花見ず」の生育サイクルがユニーク!


リコリスという花名に覚えがない方でも、ヒガンバナの仲間と聞けば花姿の想像がつくのではないかと思います。ヒガンバナと異なるのはその花色です。

かわいらしいピンク系や、輝くような黄色、清楚な白や優しいクリーム…。なかにはブルーがかった不思議な花色もあります。こんなに種類豊富なのもアメリカや日本の熱心な育種家さんたちの努力のおかげです。早咲きのタイプは7月中頃から咲き、遅咲きは10月に入ってから咲き出します。

多種類が咲き揃うのが9月なので、ぜひ散歩の途中で探してみてください。美しい花色、繊細な花姿にきっと魅了されると思います。

さて、ヒガンバナもそうですが、リコリスは花が咲いているときには葉がありません。葉はどこにいってしまったのか、そもそもリコリスには葉があるのか?はい、リコリスにもちゃんと葉はあります。葉が出る時期は2タイプあって、一つは早春に出るタイプ、もう一つは花後の秋に出るタイプ。

どちらも葉は成長して大きくなりますが、初夏になるとすべて枯れてしまいます。リコリスの生育サイクルは「葉見ず、花見ず」とも言われています。葉は花を知らず、花は葉を知らない。なんともユニークな生育サイクルですね。

夏の終わりに地面から茎がすくっと伸びてきて、一瞬だけ鮮烈な花を咲かせ、すぐに跡形もなくなってしまう。気まぐれにも思えるこのユニークな咲き方も含め、秋の到来を伝えに舞い降りてきたようなリコリスが、私は好きでたまりません。

栽培の難易度


栽培の難易度 ★★☆☆☆

球根の植えつけ適期は7月〜8月。早咲きのナツズイセンは7月上旬に植えつけておきます。木陰のような半日陰でも育ちますが、日当たりのよいほうが花がよく咲きます。植えつけの際に腐葉土や堆肥を土壌に混ぜ込んでおけば、その後の施肥は必要ありません。花が終わったら、花首の下でカットします。耐寒性・耐暑性ともに強く、植えっぱなしでも翌年また咲きます。

【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。
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