365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> 時間帯によって異なる光を上手に選ぼう
昨日に続き、プロのカメラマン・横田秀樹さんに、花の写真を上手に撮るポイントを教えてもらいました。今回は撮影する時間帯について紹介します。
「花を撮影する時は朝がいちばん!」と横田さん。それは私にもわかります。花は朝から開き始めるものが多いので、朝の花には勢いがあると感じます。
また、チューリップのように日差しを受け、気温の上昇とともに花弁がどんどん開いて花形が変化してしまうものもあります。開いた状態のチューリップもきれいには違いないのですが、あのすっとスマートな花形を撮りたいなら、ベストな時間帯は朝ですね。
ダリア、ジニア、アゲラタムなどが咲き揃う9月中旬の花壇。これは朝の8時くらいに撮影した写真だそうです。アゲラタムのきれいな薄紫色に注目して、次の写真をご覧ください。同じ花壇を12時くらいに撮影した写真です。陰影が強く、アゲラタムの薄紫色が黒ずんでしまいました。このように花の種類が多い花壇の場合は、とくに細かい影が多く出て、花色がきれいに撮れないことが多いそうです。朝に撮影するのがおすすめなのには、もう一つ理由があります。太陽は徐々に高くなっていきますが、朝のうちは斜めから日差しが当たるので、程よくメリハリのある写真が撮れるのです。
太陽が高くなるお昼前後に撮影すると、陰影が強すぎてきれいに撮れないことが多く、横田さんはお昼前後は避け、また斜めからの日差しになる時間を選ぶそうです。
太陽の高さは季節によっても変わるので、横田さんに撮影する時間帯を季節ごとに尋ねたところ、「私の場合ですが…」という注釈付きで具体的に教えてくださいました。
■春:朝は9時くらいまで。午後は14時以降から。
■初夏:朝は8時30分くらいまで。午後は15時以降。
■夏:朝は8時くらいまで。夏の間は暑さで花が疲れているので午後の撮影はなし。
■秋:朝は10時くらいまで。午後は14時以降。
花の状態、光の状態を考えると、どの季節も撮影には朝の花散歩がベストのようです。お天気と時間帯を見極め、今日は花の撮影日と決めて出かけるなら、一眼レフのカメラもぜひ持っていきたいですね。
高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。