日本の絶景神社巡り 第16回(全19回) 心の平安と開運を祈願して、『古事記』ゆかりの神様に会いに行く、わが家に神様をお迎えする、という2つのアプローチで日本の神様と真摯に向き合います。
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2023年の十二支は“卯(う)”。「ぼう」とも読み、強い陽の衝動を意味する「冒(ぼう)」や「茆(かや・ぼう)」に由来します。草木が茂る様子を表していて、転じてうさぎのような飛躍と繁栄が期待される年といわれています。生命力あふれる“卯”のパワーをいただきに、“うさぎ神社”を巡ってみましょう。
手作業で色付けされた「うさぎみくじ」。お気に入りの一羽を選んで。高さ4.5センチ、初穂料500円。宇治神社 [京都府宇治市]【学業成就】
宇治七名水の桐原水(きりはらみず)の源水がかつて流れていたという手水舎のうさぎの石像と、禰宜の花房さん。神兎が正しい道へ導く
かつて“菟道”と書いて「うじ」と読まれていた京都の宇治。現在も「とどう」という読み方で“菟道”の名が残るこの地には、応神天皇の離宮があり、皇子で御祭神の菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)の宮も建てられていたといわれています。菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)は応神天皇から後嗣に指名されていましたが、儒教の考えに基づいて長男が継ぐべきとし、後に仁徳天皇となる兄の大鷦鷯命(おおさざきのみこと)に皇位を譲るために自害します。悲しんだ大鷦鷯命(おおさざきのみこと)が313年に御神霊を祀ったのが「宇治神社」の始まりです。
そんな「宇治神社」の境内にはさまざまなところにうさぎが。菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)が現在の大阪東部にあたる河内国から宇治を訪れる途中で道に迷ったところ、一羽のうさぎが現れて後ろを振り返りながら道案内をした、という言い伝えがあるのだそう。神社では「みかえりうさぎ」と呼ばれ、神使として大切にされています。
禰宜の花房正典さんは「2023年は創祀1710年の節目を迎え、さらに卯年が重なる特別な年です。神様の力も強くなる一年といえるでしょう。頼ってくれる人が多いと、きっと御祭神も力を尽くしてくださるはずです」と話します。
参拝に加えて行いたいのが、願掛け「うさぎさん巡り」。絵馬に願い事を書いてお参りした後、本殿を時計回りに3周する。その間に3羽のうさぎを見つけることができれば、さらなる御利益を授かれるといわれている。下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。 Information
宇治神社
京都府宇治市宇治山田1
- 【主な御祭神】菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと) 【御神徳】学業成就・受験試験合格・安産成就・方位除け
撮影/本誌・西山 航 ●特集内の表記、ふりがなは各神社、著者の指定に準じます。
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。