有馬温泉VS箱根温泉 第4回(全10回) 首都圏からのアクセス抜群、上質な温泉と自然がもたらす風光明媚な景観で、古くから東西の奥座敷として親しまれている箱根温泉と有馬温泉。コロナ禍を経て、より心地よく進化中の両地を訪問。「今」の魅力に迫ります。
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冬の懐石の主役となる松葉蟹。浜坂港の業者から大ぶりな活け蟹を直接仕入れ、焼き蟹は食べ頃に焼き上げてから部屋に運ばれる。“新基準客室”で味わう冬の美味
昭和4年の創業以来、数寄屋の佇まいが美しい宿として知られてきた旅館「欽山」。竹林に包まれた長屋門の玄関をくぐると、四季折々の景色を楽しめる日本庭園が広がり、侘び寂びや、茶の湯の心に触れる細やかなもてなしで迎えてくれます。
日本最古の有馬のいで湯とともに、長年お客さまを魅了してきたのが、代々受け継がれてきた料亭を思わせる贅を尽くした食事です。日本旅館の形を継承するために夕食、朝食とも部屋食にこだわり、一品一品、専属の部屋係によって熱いものは熱く、冷たいものは冷たい状態で供されます。
いずれの料理も素材を生かすための創意工夫を凝らし、常に心がけているのは一品で完結するのではなく、食べ終わったときにおなかも心も満たせるような心地よい流れ。
日本海と瀬戸内海で揚がる魚介をはじめとする兵庫五国の幸をふんだんに用いた、食通をも唸らせる、日本料理の粋を凝らした心尽くしの懐石です。
料理が冷めないように考案された、フカヒレあんがかかる目板鰈の唐揚げは長年の人気料理。