英国女王の名を冠することが許された唯一の船会社
世界中のクルーズ好きな富裕層に愛されている豪華客船「クイーン・エリザベス」。埠頭に係留されている船体を間近にすると、その優美かつ雄壮なシルエットに、思わず、ほーっ、とため息が出ます。
シドニーの埠頭に着岸中のクイーン・エリザベス。黒と白の美しい船体は圧巻!クイーン・エリザベスは、1839年に歴史を遡る英国の海運会社キュナード・ラインの航路客船。キュナード・ラインは、世界各国の王族や映画スターなど、数々の著名人に愛された客船で、英国王室から女王陛下の名称を付すことが許された唯一の船会社です。
1940年の就航にあたり、故英国王妃エリザベスによって1938年に命名された初代クイーン・エリザベス。当時は、世界最大の客船でした。
現在のクイーン・エリザベスは、2010年に就航した3代目の船。英国伝統の格調高いサービスと、大型客船ならではのゆったりとした空間と時間が魅力です。2018年の改装で、客室やスパなどが一新されました。
全長294m、総トン数90900トン、12階建てのクイーン・エリザベス。乗客定員数は2081人、乗組員は980人という大型客船。今回は、オーストラリアのシドニー港から出港するショートクルーズの模様を紹介します。
以前は、乗船前にターミナルのチェックインカウンターで乗船手続きを行っていましたが、現在は、事前に公式サイトに情報を登録して、ボーディングパスやラゲッジタグもオンライン上から自分で出力するシステムに進化しています。
またよりスムーズに旅をスタートできるようゲストの船室に、直接ルームキーやインフォメーションを置いておく方式に変わりました。
等級制をいまも受け継ぐ船室。バルコニーからの海の眺めも格別
古き良き豪華客船の伝統を受け継ぐキュナード・ラインの客船は、現在でも等級制を維持しています。
クイーン・エリザベスには利用できるダイニングが異なる4つの船室カテゴリーがあり、上から、「クイーンズ・グリル」「プリンセス・グリル」「ブリタニア・クラブ」「ブリタニア」となっています。
グリルクラス(※「クイーンズ・グリル」と「プリンセス・グリル」を利用するカテゴリー)の船室には、約31㎡のスペースに専用バルコニーやリビング、バスタブ付きバスルームを備えたプリンセススイートから、128㎡のグランドスイートまで、驚くほど広くて優美な客室が用意されています。
クイーンズ・グリルにはバトラーがおり、快適な船旅のお手伝いをしてくれます。専用ラウンジやテラス、コンシェルジュサービスも利用できるので、プライベートを大切にしたラグジュアリーな滞在を満喫できます。ホスピタリティに定評があるクイーン・エリザベスの真髄を味わえるのが、グリルクラスでの船旅です。
グランドスイートのリビングルーム。ここで、インルームダイニングも楽しめる。船の最上階に位置するグリルズ・テラス。グリスクラスのゲストだけが利用することができる広く心地よいテラス。ブリタニア・クラブの船室は、バルコニーがついた約24㎡の客室で、上質で落ち着いた雰囲気。ベッドにリビングエリア、バスルームが備わります。心地よい海風を感じられるバルコニーには、テーブルとチェアも置かれています。
冷蔵庫内にスパークリングワイン1本がサービスとして入っているので、船室に入ったら、まずは海を眺めながらグラスを傾けるのも素敵なひととき。
ブリタニア・クラブの船室。ソファも備わっており、上質で落ち着いた雰囲気でくつろげる。ブリタニア・クラブの船室バルコニー。海風を感じながらリラックス。ルームサービスで、朝食をここでいただくこともできる。クルーズ黄金時代にルーツを持つホワイトスター・サービス
すべての船室には、英国王室御用達の老舗香水ブランド「ペンハリガン」のアメニティが備わっています。
ペンハリガンの「クァーカス」は、シトラス系の爽やかな香り。ジェンダーフリーで使いやすい。ベッドメイキングは、毎日、朝晩の2回。乗船している間、同じスタッフがベッドメイクを担当するので、次第にゲストとも気心が知れ、ゲストが好みそうな船内のイベント情報などを教えてくれることも。
キュナード・ラインのサービスは「ホワイトスター・サービス」と呼ばれ、すべての乗務員がホワイトスター・アカデミーで英国式のサービスを習得しています。
ホワイトスターとは、かつてタイタニック号を所有しており、その後、キュナード・ラインが合併した船会社。20世紀初頭、オーシャンライナー黄金時代に活躍したあのタイタニックにルーツを持つ格式あるサービスを、今、クイーン・エリザベスで受けられるのは、ちょっと時空を超えるかのようなクルーズ体験です。
次回は、英国伝統の文化ともてなしを受け継ぐ、美しく荘厳な船内をご案内します。
・
第2回 まさに“世界の洋上を移動する英国”。豪華客船「クイーン・エリザベス」船内をご案内します>>>