旬を愛でる花旅・庭めぐりとは…毎週水曜日は、ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが“今が旬”の花の名所情報をお届け。今回は春の京都で見ておくべきサクラの名所をご案内します。
旬を愛でる花旅・庭めぐり(25)
生涯忘れられないサクラに出会う旅へ〜京都
西山の斜面に広がる濃淡のサクラは心を幸せにする色。善峯寺のサクラは見所いっぱいで奥が深い。写真協力/PIXTA山寺に広がる桜色の「はんなり」に心朗らか
〜西山・善峯寺(よしみねでら)
京都のタクシードライバーは京都の魅力をよくご存じ。ちょうどサクラの時期に乗ったら「有名な社寺のサクラもいいけれど、京都のサクラのいちばんの魅力は山ザクラですよ」と教えてくださいました。
京都は街中でも道の先に山が見えますが、サクラの時期にはぽんぽんと山が部分的に淡ピンクに染まります。その「はんなり」が美しく、京都らしいのだそうです。
社寺に咲くサクラと山に咲くサクラの両方を一度に楽しめるのが、洛西エリアにある善峯寺です。京都の中心部からは少し距離がありますが、ここは半日かけての小さな旅をしてでも見ておく価値のあるサクラの名所だと思います。
善峯寺は、1029年に源算上人により開かれた天台宗単立寺院
西山の険しい斜面に建つ、山全体が寺域という広大なお寺です。斜面のあちらこちらにサクラが咲く景色は、まさに山が頬をほんのり染めているかのような愛らしい美しさ。
初めは遠目に見えていた「はんなり」のピンクが近づくにつれ鮮明になり、彼岸ザクラ、枝垂れザクラ、ボタンザクラなど種類の違いがわかります。歩いて近づいていく過程や時間も、心が高揚し、とても幸せな気分になるのです。
境内に到着すると、そこには歩き疲れも忘れさせる100本以上のサクラが咲き乱れ、参拝者を出迎えます。
なかでもひときわ荘厳に咲き誇るのが、経堂の西側にある枝垂れザクラ。このサクラは、桂昌院お手植えと伝えられる樹齢300年を超す名木で、珍しいサクラとカエデの合体木だそうです。
圧巻の景色を味わった後には、眼下に広がる京都の街並みを愛でることもお忘れなく。あちらこちらが桜色に染まる上品な景色、「はんなり」を心ゆくまでお楽しみください。
善峯寺(よしみねでら)
京都府京都市西京区大原野小塩町1372
アクセス JR京都線「向日町駅」または、阪急京都線「東向日駅」下車。阪急バス「善峯寺行き」(66番)で約30分。終点「善峯寺」下車、徒歩8分。
拝観料 大人500円
電話 075-331-0020
入山時間 8時〜17時(16時45分受け付け終了)
休日 なし
http://www.yoshiminedera.com●京都の春に絶対みるべき桜の名所、まだまだご紹介します!
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1枚の絵を見るがごとく計算されたサクラ。妙心寺・退蔵院
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心静めるサクラをゆったりと観賞できる。山科・勧修寺
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「死ぬまでに一度は見ておけ」と言われるほど美しい。京都市北区・原谷苑
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「ここでサクラを見た」と自慢できる名所。京都市右京区・「桜守」佐野藤右衛門自邸