連載の最終回は、一足早く暖かい季節を迎えた竹富島へ。寒さに飽きた心と身体をゆっくりとほぐしてくれるのは、豊かな自然から花咲く美味、そして穏やかに流れる島時間。旬を迎えた「もずく」も要チェックです!
竹富島の美しい海が育む「もずく」が、長寿の、そして美の秘密!?
随所にはビーチが広がる。海開きがもうすぐとはいえ、まだまだ冷たい海のモズ。岩場の多いエリアは、春ともなれば、もずく採りのメッカに。3月の竹富島といえば海開き。ですが、もうひとつシーズンを迎えるものがあります。それは「天然もずく」。沖縄の食卓には欠かせないもずくは、沖縄の長寿を育んだ鍵ともいわれるほど。しかも竹富島の周辺は岩場も多く、海流が速いという、良質のもずくが育つのに打ってつけの環境なのだとか。旬はまさに今、3月から4月。海辺は、ミネラルいっぱいの島もずくの収穫に訪れる地元の人々でにぎわっています。ここで取ったもずくは酢などで漬けて保存し、次の春まで一年中楽しむのだそうです。
とれたてのフレッシュなもずくはぷっくりとつややか。実は「もずくそば」がおすすめです。といっても、トッピングとしてではなく「生地に練り込む」タイプ。地元の方に教えていただき、「もずく蕎麦打ち体験」に挑戦してみました。
「もずくは、さっきこの近くのコンドイビーチでとったものです」。地元のお母さんの指導の下、透明感の残るもずくをざっくりと刻んだら、強力粉に投入。「もずくは水分が多いから、それほど水を加えなくても、生地はきれいにまとまるでしょ?」。なんとかまとまった生地を、今度は平らにのばし、そして切る。これがなかなかの全身運動です。
強力粉150gに対して、フレッシュもずく50g。これで約2人前のそばができ上がります。でも、「打ちたてもずくそば」のランチが待っていると思えば、大丈夫。「幅を広めに切ったほうが、もずくの食感を満喫できますよ」。……広めに切ろうと思わなくても、結果として広めにしか切れなかったという事実はさておき(笑)、30分ほどの作業で、もずくそばが無事に完成です。
打ち粉には片栗粉を使用。生地の表面がコーティングされ、より「のど越しつるり」になるのだとか。もずくそばの完成! 鶏ささみ肉や海老などを添えて、つるつるといただきます。自分で打った味は、やっぱり格別。打ちたて切りたて茹でたての「もずくそば」は、のど越しが抜群。シークワーサーを効かせたそばつゆで、つつつーといただくと、磯の香りがふんわりと広がります。塩だけでも、シークワーサーを絞っただけでも、これがまた美味しい。つるりとのどを通っていき、いくらでもいただけそうです。
星のや竹富島には「冷製もずくそば」が、ランチやインルームダイニングのメニューにあります。さっぱりとしながら余韻の残る、幸せな南の味をぜひ召し上がってみてください。
この時期、天候などに恵まれれば、星のや竹富島でも“もずく収穫”することが可能(要問い合わせ)。澄みきった海の実りを体験する貴重なチャンスです。