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「奥能登国際芸術祭」をお目当てに。石川県の最北端の地、能登へ

2023.06.16

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石川・富山・福井「北陸」三都物語 第2回(全23回) 2024年に新幹線でつながる北陸3県は、その地の文化を発信する新たなスポットが次々と誕生し、今、最も注目を集めるエリアです。アート、伝統工芸、日本酒や美食処など、魅力溢れる夏の北陸をご案内します。前回の記事はこちら>> ●5月の能登地方の地震により被害を受けられたかたがたに心よりお見舞い申し上げます。

【石川】金沢から北へ、南へ。まだ見ぬ文化の発信地を訪ねる


石川

〔能登〕
石川県の最北端の地で自然と美が共存する魅力を再発見


石川


《時を運ぶ船》塩田千春
眼下に一面海を望む旧清水保育所内の一室に、塩田用の砂を運ぶために使われた砂取船を中心に据え、天井の隅まで、空間いっぱいに絡み合う赤い毛糸を張り巡らせた作品。自分の苗字とも重なる「塩田」が広がる景色と、何度も消滅の危機を乗り越えた揚浜式塩田のストーリーに惹かれ、作家が作品の場所として選んだ。©JASPAR, Tokyo, 2023 and Chiharu Shiota

珠洲の岬を巡り、風土とアートの共鳴を体感する奥能登国際芸術祭


金沢から車で約2時間。能登半島の先端に位置する珠洲市は、江戸時代中期には、蝦夷地から大坂まで日本海を経由して物資を運ぶ北前船の拠点として栄えました。「奥能登国際芸術祭」は、その豊かな文化と暮らしの魅力を再発見するために、今年は作品点数をさらに増やし、3回目の開催を迎えます。

世界中から選ばれた作家は、珠洲市内を回り、作品の「キャンバス」となる場所を選びます。

廃校となった校舎や今でも利用されているバス停の待合所など、景観や背景に作者の物語を紡いだ作品は、まるでその世界に入り込んだかのような没入感を味わえます。作品は珠洲市内全域に点在するため、数日かけて全制覇を目指すか、気になる場所のみ巡るか、滞在時間に合わせて自由に楽しめます。車で市内を回りながら、時には地元の人とおしゃべりできるのも、地域型芸術祭の魅力です。

また、会期期間の9~10月は、日本遺産にも認定されている「能登のキリコ祭り」が奥能登全域で行われます。「昼はアート、夜は祭り」。地域を彩る芸術文化をお目当てに、能登に足を延ばしてみるのはいかがでしょうか。

石川

石川

《記憶への回廊》山本 基
作家は、妻を病で亡くした後、娘と毎日通った「保育所」を選んだ。入り口から廊下、教室まで、20年余り描き続けてきた迷宮のような模様が描かれる。さらに進むと、「浄化」や「清め」を表す「塩」を用いた作品が立つ。塩の煉瓦を積み重ね、作家の人生を象徴した階段の頂上には、珠洲の塩作り体験で作家の娘が作った塩が乗っている。

石川
《珠洲海道五十三次》アレクサンドル・コンスタンチーノフ
珠洲の風景の特徴の一つでもある、バス停の屋根付き待合所を使った、幾何学的作品。建築家であり、数学博士でもあった作家は、4か所のバス停を選び、それぞれの立地に合わせ、待合所を囲むよう、アルミニウムのパイプの造形を仕上げた。2019年に他界したモスクワ出身の作家の思いが、現在も珠洲の生活に入り込み、バスを利用する人々の目を楽しませている。

Information

奥能登国際芸術祭 2023

  • 会期:2023年9月2日〜10月22日 屋内作品は9時30分~17時 木曜定休 作品鑑賞料:会期中、全作品を鑑賞できるパスポートは、前売り2750円、当日3300円。屋内作品は各330円。屋外作品は無料。 問い合わせ:奥能登国際芸術祭実行委員会事務局 TEL:0768(82)7720
撮影/本誌・坂本正行 協力/石川県観光連盟 ※5月の能登地方の地震により、開催時期や展示内容が変わる場合があります。最新情報はHPでご確認ください。https://oku-noto.jp/
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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