石川・富山・ 福井「北陸」三都物語 第9回(全23回) 2024年に新幹線でつながる北陸3県は、その地の文化を発信する新たなスポットが次々と誕生し、今、最も注目を集めるエリアです。アート、伝統工芸、日本酒や美食処など、魅力溢れる夏の北陸をご案内します。
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左から、色絵に金彩を施した吉田幸央 作「彩色金彩花器」16万5000円、吉田美統 作「釉裏金彩牡丹唐草文花瓶」385万円、釉薬の表情を追求する吉田太郎 作「4412 flower vase」4万4000円。ギャラリー嘸旦にて。●特別献立で使われた器の作り手を訪ねて山中温泉「花紫」に家庭画報の特別献立プランが登場>>親子3代、独立独歩。それぞれの個性溢れる九谷焼
加賀前田藩の御用窯として始まった九谷焼は、緑、黄、紫、紺青、赤の九谷五彩を用い、細やかで絢爛華麗な絵付けを特徴としています。錦山窯は1906(明治39)年に開窯。
金彩の技法を得意とする窯元で、先代の吉田美統(みのり)さんは、色をつけた器肌に厚さの異なる金箔を貼り、その上に透明釉をかけて焼成する「釉裏金彩(ゆうりきんさい)」の技法で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
現当主は4代目となる吉田幸央さん。「五彩手、赤絵細描、染付から彩釉、白磁まで、さまざまな技法があるのが九谷焼の特徴です。うちの家族はそれぞれ自意識が高いので(笑)、金を使うことをベースに、家族ひとりひとりが好きなことをしている感じです」。
地元小松産の観音下(かながそ)石を用いた石造りの「ギャラリー嘸旦」は、代々の作品に静かに向き合える静謐な空間。陶器の小箱に金箔を貼る体験や、特別な食事会やお茶会など、新しい形で九谷焼の魅力を発信する場となっています。
吉田るみこ 作、大胆な造形、カラフルな色使いの大皿と、日本の古典文様を取り入れた吉田みふゆ 作の香水瓶「MIROKU」シリーズ3万3000円~。積み重ねてオブジェに、分解して茶器になる「九谷茶譚」シリーズは3種。「茶華」は聞香杯で楽しむ中国茶器で、5つの器から成る。33万円。ギャラリー嘸日への小道の前で、吉田美統さんを中心に、右が当主の幸央さんと長男の太郎さん、 左が当主夫人のるみこさん、長女のみふゆさん。 Information
錦山窯/ギャラリー嘸旦
石川県小松市高堂町ト-18
撮影/本誌・坂本正行 協力/石川県観光連盟 料理内容などは諸般の事情により変更になることがあります。掲載の料金には別途サービス料等がかかる場合があります。
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。