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秘密の花園。1日限りのオープンガーデンがすごい!東京・恵泉女学園大学

2018.04.25

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旬を愛でる花旅・庭めぐりとは…毎週水曜日は、ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが“今が旬”の花の名所情報をお届け。今回は女子大のキャンパスガーデン、たった1日の貴重なオープンガーデンをご紹介します。

旬を愛でる花旅・庭めぐり(32)女子大の秘密の花園、1日限りのオープンガーデン〜東京・恵泉女学園大学


東京恵泉女学園大学のメインガーデン

D棟(食堂棟)の裏に広がるメインガーデン。美しくカラーコーディネートされたボーダーが芝生の庭を取りまく。植えられている植物のほとんどが、学生たちがタネから育てたもの。

うっとりするほど美しいガーデンは学生が育てた苗からできている!



東京・多摩市にある恵泉女学園大学。その静かなキャンパスに花で溢れる美しいガーデンがあることは、ご存じない方も多いでしょう。

毎年、3月、5月と10月の3回のみ、一般公開するその庭をご紹介したいと思います。たった1日だけのオープンガーデンで、今年は5月12日(土)に開催されます。

今回は少し早めにお知らせいたしますので、花好き、庭好きな方はぜひ都合をつけ、秘密の花園の美しさをご堪能ください。

東京恵泉女学園大学で咲くインギョソウやデージー

メインガーデンのピンク、パープル&レッドボーダーの一部。華やかなピンクのキンギョソウやデージーとシックな紫のセリンセ、背後のギリアのブルーと、色合わせの妙がすばらしい。

恵泉女学園といえば、園芸にとても力を入れている学校であることはよく知られています。

1929年の創立以来、園芸を教育の重要な礎のひとつとし、大学では正課として取り入れてきました。園芸についての講義があるだけでなく、すべての学生がタネから植物を育てる経験をします。

小さなタネをポットにまいて、発芽させ、適度な水やりをして見守りながら栽培していく。それは、植物を慈しむ心を養うだけでなく、植物の成長のプロセスを実際に見て、健やかに育てるために必要な手助けを行い、そのノウハウを身につけていくことになります。

なかにはうまく発芽しないタネがあったり、思い通りに生長してくれないものもあります。そんなときにも辛抱強く、また工夫を凝らしながら管理を継続するプロセスは、どこか子育てにも通じるところがあるように思えます。

東京恵泉女学園大学で咲くキンセンカ

メインガーデンのイエロー&オレンジのボーダー。草丈が高めのキンセンカの使い方がとても上手。キンセンカってこんなにすてきな花だったっけ?と驚く。

さて、学生たちが育てたたくさんの苗ですが、それをどう生かすか。その答えがキャンパスのあちらこちらにある美しいガーデンです。

観光庭園でも個人宅の庭でも、見応えのある美しいガーデンはたくさんありますが、タネから育てた苗を利用しているところは少ないと思います。何といっても手間と時間が掛かりますから。

その意味でも、恵泉女学園大学のキャンパスガーデンは、観賞の価値が高く、本物のナチュラルガーデンがどれほど美しく、心休まるかを知る機会にもなると思います。

ジギタリスや宿根リナリア
メインガーデンのピンク、パープル&レッドボーダー。ジギタリスや宿根リナリアのストレートなラインが立ち並び、その下ではニゲラやフウロソウがふんわりと咲く。繊細でナチュラルな美しさに感嘆!

本来の自然な花姿が楽しめるオーガニックな花壇づくりが魅力


恵泉女学園のキャンパス内にはいくつかの庭があり、庭以外にも花壇があちらこちらにあって、ちょうどオープンガーデンの頃に花盛り。花壇も旬を迎えます。

正門を入るとすぐ右手に前庭が広がり、小さな花旅のスタートから美しい景色が楽しめます。その花壇もテーマカラーごとに構成されていて、色合わせ、花合わせの美センスのよさは抜群!

メインガーデンなどに置かれているベンチ
メインガーデンをはじめ、各所にテーブルやベンチが配されているので、美しい花壇を眺めながらゆっくりと過ごすのもおすすめ。

そしてD棟(食堂棟)の裏手に進むと、芝生の庭を取りまくように花であふれるボーダーが広がります。中心にはハーブガーデンがあり、つるバラの仕立てもあって、早咲きのバラが咲き始めています。

メインガーデンのボーダーは、ピンク、パープル&レッド、イエロー&オレンジ、ホワイト&ブルーと、エリアごとにテーマカラーが決まっていて、ボーダー沿いに歩いていくと、色の移り変わりを楽しむことができます。

最近の庭づくりでは宿根草がメインになることが多く、街中の花壇で春によく見かけるキンセンカやキンギョソウ、クリサンセマム‘ノースポール’などの一年草は、ともするとおしゃれなイメージを損なう要因にもなりかねないのですが、ここのボーダーでは、それらの一年草がとてもすてきに使われていることに驚きます。

草丈をコンパクトにする矮化剤を使用せずに育てたそれらの一年草は、街中の花壇で見るギュッと詰まった姿とは異なり、なんとも伸びやかで、かつ力強いのが特長です。薬剤処理をせずに育てると、本来あるべき姿が楽しめるというのも、ほかの庭にはない、タネから育てるガーデニングの大きな魅力だと思います。

東京・恵泉女学園大学の花壇
正門を入ってすぐ右手に広がる前庭のボーダー花壇もとても美しい。花壇はいくつかあり、花壇ごとにテーマカラーを替えているので、自宅の庭づくりのよいお手本となる。

花盛りの庭、この先はどうなるの?


メインガーデンを楽しんだあとには、東門近くにあるロックガーデンやシェードガーデンにもぜひ足を運んでください。

キャンパス内のガーデンを詳しく知りたい場合は、10時50分からと13時から行われるガーデンツアーに参加するのがおすすめです。

キャンパスのガーデナーが解説しながら案内してくれるので、気になる植物の名前なども教えてもらうことができます。参加費は無料で、申し込みの必要もなく、時間前に前庭に集合すればよいので、気軽にご参加ください。

そして一回りしたら、お気に入りのベンチを見つけて一休み。当日は学生たちが手伝うオーガニックカフェがオープンし、素朴な味わいのスイーツも楽しめます。参加費の500円にはスイーツとドリンク代も含まれていますので、美しいガーデンで過ごす、心安まるひとときを存分にお楽しみください。

東京・恵泉女学園大学のオープンガーデン
学生たちがタネまきから育苗中の夏の花たち。春のオープンガーデンが終わると出番がやってくる。これらの花が元気に咲く夏の庭の景色も見応えがある。

さて、オープンガーデンが終わったあと、このすばらしい庭はどうなるかが気になるところ。5月末に開催される大学のスプリングフェスティバルまで楽しんだ後、夏花壇へ植え替える前に学生たちが好きな花を選んで摘み取ります。

摘み取った花を押し花にして作品にすることが課題となっている授業もあるそうです。

タネから植物を育てる心豊かな経験を、学生たちがその後の人生でも忘れずにいてくれることを心から願います。

たった1日のオープンガーデン、5月12日が、どうか庭めぐりを楽しくする天気に恵まれますように。

東京・恵泉女学園大学のOGの二人の女性
ガーデンの管理を担当する丸山美夏さん(右)と君塚亜紀さん(左)。お2人とも恵泉女学園で園芸を学んだOG。OGには園芸の分野で活躍されている方々が多い。背景はスイセンのバルボコディウムと白いスノーフレークが群れ咲く春咲きのメドウ。

Information

恵泉女学園大学

東京都多摩市南野2-10-1

アクセス 京王線・小田急線・多摩モノレール 「多摩センター駅」下車。スクールバス利用で約8分。スクールバスは京王線中央口、小田急線西口改札を出て左に進み、京王プラザホテル多摩(三井住友銀行)の手前の階段を下るとバス乗り場あり。 スクールバスの運行ダイヤは下記のサイトをご参照ください。

http://www.keisen.ac.jp/about/campus/bus/

TEL 042-376-8211
営業時間 10時50分〜11時20分、13時〜13時30分(申し込み不要)
開園時間 10時〜15時(入園は13時まで)
参加費 500円(オーガニックカフェのティーセット付き)

http://www.keisen.ac.jp

    高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

    ガーデニングエディター
    イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。現在は、種苗会社の会員向け月刊誌のほか、園芸雑誌などの編集に携わる。
    撮影/横田秀樹
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