古来、御食国(みけつくに)、美(うま)し国と称されてきた伊勢志摩の名が世界的に知られるようになったのは、2016年に伊勢志摩でG7サミットが開催されてからのこと。複雑なリアス海岸や黒潮の海流など、この海だからこそ育まれる鮑や伊勢海老のおいしさは、国内外から訪れるゲストを魅了し続けています。
丁寧に下ごしらえした鮑を海藻と蒸すことで、香りも豊かに。日本の原風景ともいえる景色の中でオードヴル「大地の恵み」(奥)と「鮑の海藻蒸し 海藻風味のジュのソース」をいただける。そんな地元の幸を知り尽くしたフレンチレストラン「ラ・メール」の樋口宏江総料理長がこの春、満を持して送り出すのが、鮑にわかめを合わせたひと皿。「旬を迎えるわかめとそのわかめを食べて育った鮑を合わせたいとずっと考えていました。海藻に包んで蒸すことで、しっとり柔らかく、うまみの濃い一品になりました。海女さんが命懸けでとってくださる鮑ですから、心してお料理しなくては」。
真珠貝の貝柱やあさり、鮑に貝ベースのスープをかけた「貝類とあおさのポタージュ」は、まさに春の味。そして、もう一つの顔である伊勢海老は、日本料理で味わってみてはいかがでしょうか。「お造りでは、その甘さが際立ち、鍋料理にすると伊勢海老らしいプリッとした食感が満喫できますよ」(和食「浜木綿」の塚原巨司料理長)。伊勢志摩が誇る二つの宝のスペシャリテ、さて、この春はどちらをいただくか……、嬉しい悩みどころです。
日本料理の「美し国会席・華」コースから、お造りの「伊勢海老の姿造り」と「伊勢海老鍋」。 Information
志摩観光ホテル
三重県志摩市阿児町神明731
- [基本料金]「ザ ベイスイート」1室2名利用で1泊2食付き1名5万1900円~(税・サービス料込み) ●フレンチレストラン「ラ・メール」(ザ ベイスイート) ディナー17時30分~22時30分(LO20時30分) ディナー1万8500円~(税・サービス料込み) ●和食「浜木綿」(ザ ベイスイート) ディナー17時30分~22時30分(LO20時30分)夕食1万2300円~(税・サービス料込み) ※レストランの利用は小学生以上となります。
撮影/角田 進 取材・文/露木朋子
『家庭画報』2019年2月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
※(税別)(サービス料別)とあるものには別途、消費税やサービス料がかかります。表示されている宿泊料金はシーズンの最低料金です。料理は状況によって、一部メニューや盛りつけが異なる場合があります。