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都通信記事一覧へ>> 石本藤雄 オオイヌノフグリ(2018)© Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto時空を超えたアートが出合う、春の京都へ
(京都特派員:西村晶子)
この春京都で注目される、女性好みの展覧会をご紹介します。
「石本藤雄展 マリメッコの花から陶の実へ-琳派との対話」
3月9日~4月21日 細見美術館
春の到来とともに、さらに活気づく京都の観光地。多くの史跡や観光施設、美術館が集まる岡崎エリアもその一つです。 見どころいっぱいの岡崎ですが、日本の美術工芸分野の幅広い蒐集で知られる細見美術館では、この春、異色の展覧会が開催されます。
フィンランドの自然から生まれた布と陶の世界石本藤雄 Onni(オンニ/幸せ)(1975)世界中に多くのファンを持つフィンランドのライフスタイルブランド「マリメッコ」のテキスタイルデザイナーとして活躍した石本藤雄氏の原点と、新たな作品の数々。北欧の豊かな自然から生まれた明るくみずみずしいテキスタイルデザインと、氏が最近手がけた陶芸作品が展示されます。
石本藤雄氏。「マリメッコ」に32年間の在籍中に、約400点のテキスタイルデザインを制作した石本氏は、その後、フィンランドの老舗陶器メーカー「アラビア」のアート部門に所属。77歳を越えた今も作陶に励んでいます。
マリメッコと聞いてまず思い浮かぶのが、花や果実などの自然のモチーフと、繊細で美しい独特の色使いです。
石本藤雄 冬瓜 (2017)© Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto展覧会では多くの作品の中から厳選したファブリックのインスタレーションやデザインの基となった原画を見ることができ、自然をモチーフにした陶芸の大皿や立体作品も紹介されます。
北欧デザインと琳派。意外な接点を発見!中村芳中(ほうちゅう)筆 立葵図扇面 江戸後期 細見美術館蔵さらに今回のもう一つの見どころは、細見コレクションの主軸となる琳派作品との共演。時代も国もまったく違う石本氏と琳派の作品が同じ空間に展示されるのです。
池田孤邨(こそん)筆 四季草花流水図屛風 江戸後期 細見美術館蔵石本氏の作品はフィンランドの自然をモチーフにしたデザインで、人々の心や暮らしを豊かにしてきました。一方、琳派の作品は日本の四季をモチーフとしています。どちらもそれを増幅させながら、意匠化・装飾化し、独自の構成法で自然を表現しています。
例えば、丸みをおびた愛らしい花を対称的に配置した石本氏の作品「紅白花」と、正面と後ろ向きに紅白の花を描いた中村芳中作の「立葵図扇面」。どちらも自然をデフォルメした作品で、ともに装飾芸術的な美しさがあります。
北欧デザイン好きにとっては待望の展覧会。京都で花開いた琳派の作品と共に見られるのは、またとない機会です。
作品は茶室 古香庵にも展示され、茶会やギャラリートークも開催されるとのこと。 時空を超えたデザインとアートの新たな出会い……石本作品の世界や魅力が大きく広がりそうです。
細見美術館
京都府京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
電話 075-752-5555
入館料 一般1300円
開館時間 10時~17時30分(最終入館)
月曜休館
http://www.emuseum.or.jp