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都通信記事一覧へ>>くつろぎのリビングスペース。ブリキ製の丸窓は、実際に押し入れの壁に使われていたものを使用。歴史と文化を体感できる、居心地抜群の町家宿
(金沢特派員:直江磨美)
濃密な金沢の歴史・文化を体感するなら、町家宿に泊まるのがおすすめ。
古い町家をリノベーションした、昔の人の暮らしをそのまま体験できるような宿が、ここ数年で金沢でも増えています。素泊まり、一棟貸切りタイプで居心地抜群の3軒を紹介します。
1.金沢町家 兼六
2階から降りるときに気づく「宿」と書かれた看板は、知人に譲り受けたもの。金沢駅から徒歩圏内、看板建築も見どころ
電車が行き交う鉄道高架橋のたもと、市街地から海側に延びる金石街道沿いに建つ「金沢町家 兼六」。
周囲には飲食店が軒を連ね、正面外観は洋風の石造りのため、それほど古い建物ではないのではと勘違いしてしまいそうですが、建物内部は、なんと明治21年頃のもの。
玄関周辺は、昭和13年の道路拡張事業のため分断されたため、洋風の石造りの外観は、その時に造られたものです。
浴室や武器庫へ連なる通り廊下。屈曲しているというのも大変珍しい。1泊2名2万円~。明治時代の香りが漂う、武家屋敷を散策
加賀藩の下級武士だった方が住んでいたという屋敷に一歩足を踏み入れると、そこは、明治時代の香りがそこはかとなく漂ってくるよう。
トオリニワと呼ばれる細長く屈曲して延びる土間廊下は昼間でも薄暗く、目が慣れてしまえば、そのひんやりとした空間も心地良く、夜になるとさらに幻想的です。
土間廊下の先は浴室ですが、ちょっと寄り道をして、右上にかかる梯子を上ってみてください。
そこは、なんと武器庫。今、置いてある刀や槍はもちろんフェイクのものですが、土壁は当時のまま。練り込まれた草や土の匂いが感じられるようです。
2階は群青色の壁。梁や柱も昔のものを残している。随所にさりげなく置かれたしつらいもアンティークで統一。最新の家電や床暖房で快適に
玄関を入った先にある茶の間には、椅子とテーブルが置かれ、ゆっくりとくつろぐスタイル。
最新の家電類も設置され、1階は床暖房も整備されています。宿全体は、エアコンが5台設置されており、冬の町家の寒さを和らげてくれます。
2階の群青の部屋で布団を敷いて寝ますが、ぜひ宿の中で随所にちりばめられた居心地の良い空間に身を委ねてみて。
2階正面玄関上のスペースは、微妙な角度を利用した建築美もさることながら、そこに置かれた椅子も大正時代、職人が西洋のものを真似した作った逸品です。もちろん座ることも可能。
また、あえて見せた壁の梁、障子や煤竹など、時間の流れによって陰影も変化し、その濃淡によって生み出される世界にハッとするはず。泊まったからこそ見られる色彩美です。
明治から昭和にかけての人々の暮らしの歴史や文化を体感できる宿です。
正面外観は、当時流行した「看板建築」と呼ばれる洋風の意匠。関東大震災後に流行した「看板建築」で金沢市に残っているのは数が少なく、こちらの建物も国登録有形文化財建造物に指定されている。金沢町家 兼六
石川県金沢市昭和町9-10
電話 090-9764-3977(支配人・小西)
IN14時~18時、OUT10時30分
※定員7名、未就学児の宿泊は不可。
http://www.konisi-kantei.com/kanazawa/