EDITOR’S REPORT 街に溢れるさまざまな情報の中から、編集部員が読者の皆さまに役立つ情報を厳選してご紹介します。新しくオープンした店や、アイディアが光る新商品、地方発の注目情報など、日々の暮らしをより楽しく、豊かにしてくれる情報がきっと見つかります。
記事一覧はこちら>> ※以下の記事は、『家庭画報』2020年4月号取材当時の情報です。営業状況は変更となっている場合もありますので、最新情報は公式ホームページ等でお確かめください。 「人形のまち」として有名な、埼玉県の岩槻。大正時代以降、人形の本格的な産地へと成長し、高度経済成長期には県内最大の産地になりました。
現在も県を代表してその人形作りの伝統を引き継ぐ多くの工房やお店が軒を連ねるこの岩槻の地に、2020年2月「さいたま市岩槻人形博物館」がオープンしました。
一文字瓦を用い軒の大きく出た切妻屋根が特徴的。全体的に和モダンな印象に。収蔵数はなんと5000点以上。「公立の博物館はコレクションを充実させるのに苦労することもあると聞きますが、当館では岩槻人形協同組合のかたがた、市民のご協力などもあり、多くの優れた品々が収蔵できています」と館長の林 宏一さん。
江戸時代の「花巻土人形 司馬温公甕割」。中国の学者である司馬温公が幼少期に貴重な水甕の近くで遊んでいたところ、友人が落ちてしまい、温公は甕を割って助けた。大切なものを割ったため叱られると覚悟していた温公だが、父は友人を助けたことを誉め、何よりも大切なものは人命であると生命の尊さを教えたという。このような教訓をわが子に伝えたいという思いが込められている。所蔵品の主軸となるのは、日本画家・人形玩具研究家として知られた西澤笛畝(てきほ) (1889~1965年)のコレクション。
画家としての審美眼によって選び抜かれた作品は、古典人形をはじめとして、郷土・創作・海外のものなど多岐にわたり、個人が収集した品々としては最高レベルのものとして有名です。
江戸時代の「ガラスの雛道具」。わずか3センチほどの小さな切子細工。細部まで精巧なつくりが美しく、まるで発光体のよう。時代を超えた趣向が感じられる。常設展と年に4回予定されている企画展の入れ替えで順次紹介されるので、季節ごとに訪れてみると、その度に新たな発見があるはずです。
(2020年6月2日現在、企画展は中止となっています。最新情報は公式サイトや、お電話でお確かめください)そして博物館のすぐ隣には「にぎわい交流館いわつき」が同時オープン。
岩槻の伝統工芸を体験できるワークショップが開かれるほか、地元で採れた野菜や特産品が味わえるカフェがあるのも嬉しいポイントで、子どもから大人まで楽しめる、岩槻の新たなスポットとして注目されています。
人形の目切りの様子。 Information
さいたま市岩槻人形博物館
埼玉県さいたま市岩槻区本町6-1-1
表示価格はすべて税込です。
『家庭画報』2020年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。