春夏秋冬雄大な景色を旅する 日本の絶景遺産 第5回(全13回) 豊かな自然に恵まれた日本には、絶景の名にふさわしい、感動を呼ぶ風景が数多くあります。未来に伝えたい“絶景遺産”を美しい写真でご紹介、今改めて“美しい国、日本”をお届けします。
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“次世代に伝えたい風景”
日本に残る自然と調和した歴史ある町並みや昔ながらの民家、手つかずの原生林……。外からの目が、私たちに気づかせてくれます。それが、世界でも類を見ない、かけがえのない美しい風景であることを。
秋の湖北水鳥公園。ススキやヨシの原っぱの向こうに見えるのは竹生島(ちくぶしま)。琵琶湖の湖畔に立つと
地球の声が聞こえてくる
【滋賀県・琵琶湖】
──ベニシア・スタンリー・スミスさん
ずっと昔、母の反対を押し切って英国を飛び出し、インドから日本へ旅した私は2年ぶりに、アイルランド中南部にあるダーグ湖畔の田舎に移り住んでいた母を訪ねた。
日本で暮らしたいけれど、これから何をして生きていこうかと不安だった私を、ダーグ湖の美しい風景が励まし、力を与えてくれた。今でも琵琶湖を眺めると、当時のことが思い出される。琵琶湖の澄んだ水は、私を癒し、安心させてくれる。
私はその後日本で結婚し、子供を4人授かった。今は近くの琵琶湖へよく出かける。湖畔の散歩は気持ち良く、水鳥も見られる。夏になると子供や孫たちと一緒に泳ぐのが楽しみだ。
伊吹山中腹から竹生島を遠望。その昔、伊吹山の神と金糞岳(かなくそだけ)の神が高さを競った。負けた伊吹山の神は怒って金糞岳の神の首を切り落とした。その首が琵琶湖に落ちて、竹生島になったと伝わる。ベニシア・スタンリー・スミス
イギリス・ロンドン生まれ。ハーブ研究家、エッセイスト。京都で英会話学校を経営。 〔特集〕春夏秋冬雄大な景色を旅する 日本の絶景遺産(全13回)
撮影/梶山 正
※誌面で紹介した絶景は、季節や気象条件などにより見られない場合があります。ご了承ください。
『家庭画報』2020年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。