能登半島は海と小高い山々が近接する独特の地形で、昔からその風土がもたらしてきた産物は、奥深い魅力を持っています。
近年、それらの産物に現代的なエッセンスを加えた製品を生み出し、発信する生産者が増えてきました。
そのうちの1軒が、漁師町・能登町宇出津(うしつ)にある「ふくべ鍛冶」。包丁や農具、漁具など暮らしの道具を手がける野鍛冶です。
漁師町の風情漂う店舗には海と山の道具が並ぶ。手打ちで鍛造する3代目・干場勝治さん。こちらで評判なのは能登マキリ。「マキリとは日本海沿岸の港町で親しまれている漁師道具で、魚をさばく際やキャンプ、ガーデニングでも重宝する万能ナイフです」と4代目の干場健太朗さん。
明治の創業以来作り続けている能登マキリ。手前から、「孫光別作」11万円、「孫光作」1万6800円、「孫光」8800円。なかでもこの春完成した「孫光別作」は、日本刀の素材「玉鋼」を用い、刀匠と野鍛冶の合作で生み出した逸品です。
左から、先端の突起が特徴的な能登鉈1万3200円、りんごや柿などの果実の皮をむく皮とり包丁6380円、イカ割き包丁6380円(すべて税・送料込み)ホームページで専用の箱を取り寄せて自宅の包丁を入れて送ると、職人さんが研いで送り返してくれるサービス「ポチスパ」(1本1980円定額、長さ制限あり、送料込み)も好評です。
もう1軒は輪島市門前町にある「ハイディワイナリー」。
左から、ハイディワイナリーのワイン「千里 アルバリーニョ2019」、曹洞宗大本山總持寺御用達の「相承 キュヴェメモリアル 赤」各750ml 3500円。ワインは取り寄せ可。海と山が近い能登の土地にほれ込み、移住したオーナーの高作正樹さんが始めたワイナリーで、2013年の開業以来、徐々に施設を拡張し、現在はぶどう畑、醸造所、レストランが建ち並び、その洗練された佇まいにも魅了されます。
ワイナリー見学ツアーは前日までに要予約。日本海の潮風にあたりながら育つぶどうで造るワインは、ほのかな塩味が特徴。特に白ワインは魚介との相性を考えて醸造し、「海のワイン」と名づけられています。
眺望抜群のレストランのメニューは、能登産きのこパスタ1200円やスペアリブ1800円などアラカルト中心で構成。少量ずつ味わえるワインテイスティングも人気。海、山、ぶどう畑を見渡すレストランからの眺めは絶景。
常に土地の恵みとの結びつきを感じながら、新しい目線でワインを造っています。