ガーデニングエディターの高梨さゆみです。毎週更新の花と庭を愛でる旅情報、今週は冬枯れしていく景色の中で、ひときわ華やかに咲き誇るサザンカをご紹介します。場所は大学のキャンパス内。隠れた名所にぜひお出かけください。
冬の澄んだ青空を背景にサザンカのあでやかなピンクが美しく映える。
【連載】旬を愛でる花旅 ・庭めぐり 11月の名所[第10回] 一生で一度は見ておきたい、京都・嵯峨野の紅葉名所[第11回] 孤高の画家が描き続けたプロヴァンスの花[第12回] 藁に包まれた牡丹の光景にほっこり。奈良・石光寺の寒ボタンが見頃→花の名所をもっと見る国内外から集めた約300品種。学術的にも貴重なサザンカコレクション
落葉樹が紅葉して葉を落とすのは、冬の休眠期に入るための準備。そして、宿根草の多くも寒さ対策のために地上部の葉や茎を枯らし、冬ごもりへの準備を始めています。庭も街の景色も徐々に色を失っていく中で、赤やピンク、白の花をふんわり咲かせるサザンカ。遠目からでもよく目立ち、そこだけ暖かな日だまりがあるようで、つい歩み寄りたくなります。サザンカはまさに冬に彩りを添える花。
そんなサザンカを国内外から約300品種も集めているのが、東京農工大学の府中キャンパスです。サザンカ、ツバキの研究に携わっていた箱田直紀元教授の精力的な努力により、多くの品種が集められたそうで、これだけまとまったコレクションはほかには見当たらず、学術的にもとても貴重な存在となっています。
ここから多くの植物園、フラワーパークなどに品種が供給されているので、サザンカの品種をよりたくさん見たいなら、ここに来るのがいちばん確実というわけです。 普段はなかなか入る機会のない大学の農学部キャンパスへ、サザンカを愛でに行くマニアックな花旅もなかなか楽しいものです。
東京農工大学農学部の畑沿いに続くサザンカの並木路。4つの品種群が花期をずらして、10月から翌年4月まで咲く。