旬を愛でる花旅・庭めぐり(48)夏の最後を飾る八重咲きヒマワリの圧巻の景色!〜茨城・「あけの ひまわりフェスティバル」
花心まで黄色の八重咲きヒマワリ約100万本が、青空を背景に咲き誇る景色は圧巻。見ているだけで元気をもらえる。今年のヒマワリの見納めに、100万本の壮大な景色を
夏の花といえば、ヒマワリ。今年のヒマワリ、ご覧になりましたか?
今回は「見逃してしまった〜」という方に、とっておきの名所をご紹介します。
暖地、温暖地ではヒマワリの開花のピークは8月上旬くらい。なので、関東以西ではすでにヒマワリのフェスティバルも終了している所が多いのですが、茨城県筑西市の明野地区で行われる「あけのひまわりフェスティバル」は8月25日〜9月2日までの開催です。
関東地方なのになぜ開催が遅いかというと、この地区ではムギを栽培している田畑にヒマワリのタネまくのですが、その収穫が終わるのが6月中旬〜7月下旬。そのため、ヒマワリが開花するのも遅く、毎年8月25日前後から開花のピークを迎えるのです。
会場となる田畑は約4.4ヘクタールの広さがあり、そこに咲くヒマワリは約100万本!
晴れた日にはバックに筑波山の美しい稜線がくっきりと見え、とてもフォトジェニックな景色を堪能できます。
東京からのアクセスもよいので、ぜひ夏の最後の花旅に出かけてみてはいかがでしょう。
八重咲きのヒマワリが生み出すほかにはない美しさが自慢
ヒマワリの畑は4.4ヘクタールと程よい広さ。何本も小径があるので、自在に歩いて心をヒマワリ色に染めてみて。明野のヒマワリ畑には、ひとつ大きな特徴があります。そこに咲く約100万本のうちのほとんどが八重咲きのヒマワリなのです。‘東北八重’という日本の種苗会社が育種した品種で、繊細な花びらが重なり合うように咲く花姿がとてもきれい。品種改良に10年の歳月を費やした傑作で、切り花でも非常に人気の高い品種です。
左が一般的なヒマワリ、右が‘東北八重’。花びらの枚数に圧倒的な差が。繊細な印象の八重咲きヒマワリは切り花でも人気が高い。一般的なヒマワリは花心が茶色いのですが、‘東北八重’は花心まで花びらの黄色で埋まるため、たくさん咲くと一面が明るい黄色で、まるで光り輝いているような景色になります。
八重のヒマワリをここまでたくさん植えている所はほかにはなく、ここが最大級といえます。「100万本の八重ヒマワリを見て来た」というのは、ちょっと自慢できるかもしれません。
なお、この‘東北八重’は、花びらで覆われた下にタネができるのですが、それが未熟なまま畑にこぼれてしまうので、採種することができず、毎年あらたにタネを購入して育てているそうです。採種は開発した種苗会社の企業秘密なのだそう。
ヒマワリの名所は日本各地にあり、もっと広大な場所もありますが、明野のヒマワリ畑は歩き回るのに程よい広さ。
少し離れた位置から黄色に染まる全景を眺めて楽しみ、畑の中の通路を歩いて、透明感のある黄色の花をアップで楽しんで、今年最後の夏を満喫してみてください。
この会場は終日入場可能なので、暑さが和らぐ夕方に出かけるのもおすすめです。夕日を浴び、少し赤みを帯びたヒマワリ畑もまたすばらしく、とてもロマンチック。大人っぽいヒマワリの表情が新鮮で、胸にしみ入る美しさです。
夕焼けが筑波山の美しいシルエットを染める景色も魅力。終日オープンなので、夕方近くに訪ねるのもおすすめ。フェスティバル期間中には楽しいイベントもいっぱい!
「あけの ひまわりフェスティバル」の期間中は、会場内でさまざまなイベントもあります。8月25日は17時〜20時まで、「ひまわりキャンドルナイト」が開催され、ひまわり畑をたくさんのキャンドルが照らす幻想的な風景が楽しめます。
また、8月26日は「ひまわりマーケット」がオープン。手作りの雑貨の販売やワークショップがあり、ここでしか入手できない貴重な作品に出会えるかもしれません。
「ひまわり切花園」もあり、ここで咲く美しい八重咲きのヒマワリを花束にして持ち帰ることもできます。5本で300円なので、花屋さんで買うよりずっとお得!プラス100円でラッピングもしてくれるそうです。
さて、夏のフィナーレともいえるこのフェスティバルが終了すると、9月下旬には大型の農業機械で畑の耕起が行われ、次の季節の田畑栽培が始まります。
ヒマワリ一色に染められ、心ときめくフェスティバルはまさに「真夏の夜の夢」。短い旬を見逃さないよう、早めにお出かけください。
ヒマワリだけでなく、近くにはキバナコスモスの畑もあり、こちらも入場は無料。鮮やかな花色が青空に映える印象的な景色をご堪能ください。