歩み続ける永遠の花の都 私たちを待つパリ 第2回(全6回)新型コロナウイルス感染拡大による激動の時代にあって、花の都、パリも新しい時代に向けて大きく変わろうとしています。環境や健康、次世代を考えたライフスタイルを提案する人々、パリ五輪を見据えた、数々の新しい文化施設など。次に私たちが訪れるパリは、さらに魅力的になっているでしょう。現地から、“パリのエネルギー”をお届けします。
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新ガストロノミーに見るパリの底力
かねてから自問自答しつつ、次の世界を見据えてきたシェフたち。
コロナ禍が明ければ、彼らのビジョンが目に見える形となって現れることでしょう。
右は赤い実をふんだんにあしらいオレガノが隠し味になったパヴロヴァ。甘さを抑えた上品な味。左は定番プロフィトロールの春バージョン。いずれも17ユーロ。ティータイムには、焼き菓子の盛り合わせも選択肢に。伝統と格式を誇る一流店による革命
ル・グラン・ヴェフールパレ・ロワイヤルの一角、建物、内装そのものが歴史的建造物に指定されているこのレストランは、フランス革命以前から、時代を動かしてきた人たちが集う場所でした。現在のオーナーシェフであるギィ・マルタン氏は「ミシュランガイド」の頂点を極めたスターシェフですが、今年、星を手放す覚悟で大きな決断をしました。今までは全50席、一人あたり数万円はするという敷居の高い名店でしたが、今後は店内だけでなくパレ・ロワイヤルの列柱空間や庭園側にも最大で100席のテラスを設け、ビストロ並みの価格でガストロノミーを提供するというものです。加えて、昼と夜の食事だけでなく、朝食とティータイムのサービスも新しくスタートし、定休日なしの営業にするというのですから驚きです。
今回の取材では、長い休業を強いられているなか、再開された暁に提供する料理を特別に作ってくれました。唯一無二の歴史空間、超一流の腕を気軽に享受できる日が待ち遠しいです。
海老とエリンギ。マンゴーやハーブのあしらいで爽やかさとボリュームをあわせ持つひと皿に。たこととうもろこしのマリネ。酸味に加えてとうもろこしのピュレとバジルソースで風味が幾重にも広がる。独学で料理を学び、2000年にミシュラン3つ星を獲得。フランス料理界を代表するシェフの一人。11年からオーナーでもある当店をはじめ、さまざまなレストランを複数展開する。 Information
Le Grand Véfour
17, rue de Beaujolais, 75001 Paris
- コースメニューは2品で45ユーロ、3品で57ユーロなど。 最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
撮影/小野祐次 取材・文/鈴木春恵
『家庭画報』2021年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。