モナコ公国 華麗なる舞踏会へ 第4回(全6回) あらゆるラグジュアリーが凝縮したモナコ。7月最後の週末の夜にはその煌めきが最高潮に達します。ロングドレスで着飾った淑女がブラックタイの紳士にエスコートされて集う「モナコ赤十字舞踏会」。71年の伝統を持つ夢の舞台へとご案内します。
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「オテル・ド・パリ・モンテカルロ」
目の覚めるような高級車がひっきりなしに横づけされるホテル。世界広しといえど、これほど凝縮した高級感が味わえる場所は貴重だ。生まれ変わった公国の“歴史の舞台”
「これまでにつくられたすべてのものを超えるホテル」という壮大な夢を掲げた億万長者が、1864年、当時の大公シャルル三世の支援を受けて誕生させたのが「オテル・ド・パリ・モンテカルロ」。それからここは150年余りにわたって、歴史の舞台であり続けています。
ホテルを訪れた国家元首、王族、著名アーティストたちは枚挙にいとまなく、モナコの目覚ましい発展とともに時を刻んできました。
1909年改装後のベルエポックの優美な佇まいに愛着を抱く上客も世界中にいますが、さらなる飛躍を期して2014年から大規模なリニューアルを敢行。このたび新しい光をまとって生まれ変わりました。
ロビー中央の見事な装花とブロンズのルイ14世像は、改装後も変わらぬホテルのシンボル。験担ぎで皆が撫でる馬の右脚が光っている。最先端の居住性やデザインを大胆に取り入れながらも、唯一無二の伝統が醸し出すラグジュアリー感はそのまま。
舞踏会のゲストたちがまずはここで落ち合うという伝統も健在で、大理石と金彩のロビー、琥珀色のシックなバーには、21世紀のおとぎ話のような世界が繰り広げられています。
カジノ広場に面した客室からの眺め。人々に夢を見せたカジノの向こうの海から朝日が昇る。